日本代表監督選び。候補者たちに「断られる」理由

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images Sports

緊急特集「よみがえれ! 日本サッカー」(5)

 ハビエル・アギーレ監督の解任劇の混乱が、今なお続いている。ドラガン・ストイコビッチ、チェーザレ・プランデッリ、グレン・ホドル、ミカエル・ラウドルップ......連日、後任の日本代表監督候補の名前が浮かんでは消える。

「●●監督に断られた」という報道もすでにあり、それによって「交渉の不手際だ」と非難する声も少なくない。

ミカエル・ラウドルップ(左)は現在カタールのクラブの監督ミカエル・ラウドルップ(左)は現在カタールのクラブの監督 では、交渉の内実とはどのようなものなのか。

 筆者は近著『おれは最後に笑う』(東邦出版)でザッケローニ監督が決まるまでの交渉を克明に描いている。その経験からいえば、日本のサッカー代表監督は一朝一夕の交渉で決まるものではない。

 例えば日本が2010年に交渉したマヌエル・ペジェグリーニとはいい線までいっていた。だが結局、チリ代表監督、もしくは欧州のビッグクラブと天秤にかけながら、マラガの監督を経てその後マンチェスター・シティの監督に決まっている。世界的名将の最前線は、常に「欧州」にある。アジアは向こう側の世界のマーケットに過ぎない。マルチェロ・リッピのような名将が中国のクラブの監督をしている理由は、14億円と言われる高年俸にあるだろう。

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