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久保建英とリーガ3位のソシエダに好循環。やるべきことが明確だから成長できている (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【ポテンシャルの高さを引き出されている】

 後半開始直後、右サイドに素早く流れると、すでに消耗を見せていたアルメリアの先手を取っていた。そしてダビド・シルバとワンツーする形で好機を作り出す。右からややマイナス方向に折り返したパスは、阿吽の呼吸でスペースに出したもので、そこにダビド・シルバが走り込み、もつれあう形になって、シュートが決まった(VAR判定でゴールが認められている)。

 その5分後にも、久保は右サイドで幅を作ると、食いついてきた相手選手を周りに集め(瞬間的に3人をひきつけていた)、ミケル・メリノにパス。自由にプレーすることができたメリノは、がら空きになっていたディフェンスラインの裏に出した。これを受けたアレクサンダー・セルロートが持ち上がって、切り返しから左足で鮮やかに叩き込んだ。

 攻守一体となったサッカーのなか、やるべきことが明確だからこそ、選手も成長を遂げている。ボールプレーヤーたちがコンビネーションを深めているだけに、攻撃に再現性もある。その自信があるから、安定して結果を出せる、理想的な状況にあるのだ。

 レアル・ソシエダを率いるイマノル・アルグアシル監督は、今や欧州で指折りの指揮官と言えるだろう。

 アルグアシルはソシエダの下部組織で指導を続けてきたが、一貫した戦い方を継続することで、トップチームでも強固な戦いができている。ボールを持てる時間を増やすことで、仕掛ける回数を増やし、失敗することも含めて精度は必然的に高まっている。さらに、土台が能動的なサッカーにあることで、常に自分たち次第の戦いができる。攻撃のためのプレス守備の練度も高く、極めて合理的と言える。

 久保はそのチームで、ポテンシャルの高さを引き出されている。今シーズンは、数字にはつながっていなくても、スペイン挑戦以来、最も多くの得点に関与しているのは間違いない。守備面でも綻びになっていない。2トップの一角のようなポジションだけでなく、左右のアタッカー、トップ下、右ハーフなど、チームの中で自らのテクニックを生かせている。

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