マルセロ型とコエントラン型。W杯を彩る強力サイドバックたち

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

欧州サッカーの旗手たち(6)~サイドバック編

 ロベルト・カルロスとカフー。世界的なサイドバックというと、依然として、90年代後半から00年代前半にかけて活躍したブラジル代表の2人を連想する人は少なくないはずだ。

 実際、今回のW杯に出場するサイドバックの中で、存在感で彼らを凌ぐ選手は見あたらない。タッチライン際を単独で攻め上がる、派手さを備えた、ある意味で分かりやすい攻撃参加をする選手はとても少なくなった。

 かつては、将棋の駒にたとえて言えば香車(きょうしゃ)だった。なによりスピードと直進性が問われていた。いまはそれに加えて、コンビネーション能力が問われる時代になっている。

ドイツ代表でもキャプテンを務めるラーム(バイエルン)ドイツ代表でもキャプテンを務めるラーム(バイエルン) サイドの選手を両サイド各2人配置するチームが、スタンダードになったことと、それは大きな関係がある。サイドバックは高い位置で構えるもう一人のサイドアタッカーをはじめ、周囲と絡みながらサイド攻撃を仕掛ける。単独攻撃は減っている。

 中盤化したといってもいい。ゲームを読む力は不可欠になっている。

 その代表的な選手は、ラーム(ドイツ代表/バイエルン)だ。もともと彼は、右も左もできる多機能性が売りだったが、今季、グアルディオラから守備的MFに抜擢されたことで、プレイの幅はいっそう広がった。ゲームを読む力に磨きが掛かっている。右のサイドバックでありながら、ドイツで最も欠かせない中心選手、司令塔とさえ言いたくなる、ビルドアップ能力を備えたキーパーソンだ。

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