パリオリンピックカヌー日本代表・羽根田卓也が競技を通して学んだ「迷うことの無意味さ」 (3ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

――カヌーはドイツやスロバキアをはじめ、特にヨーロッパで盛んなスポーツです。日本人のカヌー競技に対する関心度は、羽根田選手の活躍によって上がってきたと思います。そのうえで、今後どのようにしていきたいと考えていますか?

「僕の子どもの頃と比較してカヌーの認知度は、本当に何十倍、何百倍に高くなっていると思います。ただ、その認知度が上がったからといって、愛好家が増えたかというと、そこまで増加していないですね。もっと気軽にカヌー体験できたり、選手を目指すことができる環境が少しずつでも整ったりして、日本にもカヌーが根付いてくれると嬉しいですね」

――羽根田選手自ら率先して大会や体験イベントを開催されているのは、そういった理由もあるのですね。カヌー競技でアジア人史上初のメダル獲得をされた2016年リオ五輪の頃と今を比べて、環境など変わったことはありますか?

「はい、激的に変化しました。競技人口は約6000人でまだまだ少ないですが、その当時に比べてカヌーの知名度が上がったことで、周りが関心を持ってくれるようになりましたから。カヌーに関わる人たちや団体なども増えましたね」

――パリ五輪で5度目の出場となります。具体的な目標を教えていただけますか?

「目標はやはりできるだけ高いところ。表彰台を目指していきます。みなさんに感動できる何かを届けられるように頑張ります!」

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■Profile
羽根田卓也(はねだ たくや)
1987年7月17日生まれ、愛知県豊田市出身。ミキハウス所属。愛称はハネタク。7歳で器械体操を始め、9歳で元カヌー選手だった父と兄の影響でカヌーを始める。中学、高校でもカヌーを続け高校卒業後18歳でカヌーの強豪国スロバキアに単身渡り現地の大学に通いながら鍛錬を積んだ。五輪初出場は2008年北京五輪。2012年ロンドン五輪は7位入賞。2016年のリオデジャネイロ五輪ではカヌー競技でアジア初となる銅メダルを獲得。2020年東京五輪(2021年開催)は10位と悔しい結果に終わった。しかし、5度目の挑戦を決意し、2023年10月29日アジア選手権男子カナディアンシングル決勝で優勝しパリ五輪出場権を獲得。5大会連続5度目の五輪出場決めた。

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