パリオリンピックカヌー日本代表・羽根田卓也が競技を通して学んだ「迷うことの無意味さ」 (2ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

――波や水の流れに対して執着心を持っても仕方がないというところを、自分にも落とし込んだのですね。普段もそういった執着心を持たないで生きているんでしょうか?

「私生活ではそこまで意識していなかったんですが、いろんな方に会うなかで『肩の力が抜けていますね』と言われて、そういうふうに見えているんだなと。振り返ってみるとヨーロッパの人たちはすごくフラットというか、ドライで合理的に割り切った考え方の人が多い。

 彼らは『スポーツだから、勝負だから、仕方ない』と、いい意味で開き直ってカラッとしているんです。僕自身、その影響をすごく受けていますね」

――羽根田選手は、趣味として茶道に取り組んでいるとのことですが、どんなきっかけで始めたのですか?

「小さい頃から日本の伝統や文化的なものがすごく好きなんです。一番好きなのは仏像や神社仏閣、美術館。茶道を始めたのは、東京五輪が延期になったコロナ禍の自粛期間中。ご縁があり茶道の先生に出会う機会がありました。東京五輪も延期になったし、少し新しいことに取り組んでいこうかなと思って始めたのがきっかけですね」

――カヌーとは一見関係がなさそうな茶道に取り組まれていることに少し驚きました。

「直接の関係がないからこそ、やった方がいいかなと。それにお茶を立てている時は、無心になります。茶道の時間は、集中して他の事を考えずに没頭しますから。唯一の共通点は、カヌーの中でも茶道でも正座するので足が痺れるところですね(笑)」

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