ラグビー日本代表候補の早稲田大・佐藤健次が夢見る「荒ぶる」合唱 目標まであと1勝
新年が明けた1月2日、61回目となるラグビー大学選手権の準決勝2試合が東京・国立競技場で行なわれた。関東対抗戦を全勝で駆け抜けた早稲田大は、4シーズン連続トップ4の実力を誇る京都産業大(関西大学Aリーグ2位)と対戦することになった。
「リゲイン・プライド」
プライドを取り戻すことをテーマに掲げた早稲田大にとって、この試合は特別な意味を持っていた。
キャプテンPR佐藤健次が早稲田大の強さを語る photo by Saito Kenji FB伊藤大祐(現・神戸スティーラーズ)がキャプテンだった昨シーズンの準々決勝、早稲田大は京産大に28-65で大敗。スクラムでもフィジカルでも相手に圧倒されて、年越しができずにシーズンを終えた。今回の準決勝は、まさにその借りを返す絶好の機会となったわけだ。
※ポジションの略称=HO(フッカー)、PR(プロップ)、LO(ロック)、FL(フランカー)、No.8(ナンバーエイト)、SH(スクラムハーフ)、SO(スタンドオフ)、CTB(センター)、WTB(ウイング)、FB(フルバック)
因縁の相手に対して、白のセカンドジャージーをまとった早稲田大は常に先手を取った。前半からスクラム、ディフェンスともに京産大を上回り、後半11分までに5トライを奪取。終盤になって3トライを返されたが、最後は逃げきって31-19で決勝に駒を進めた。
1年前、グラウンドで涙を流したHO佐藤健次(4年)は、キャプテンになってリベンジを果たした。
「どこかでずっと、京都産業大にやり返したい気持ちがありました。昨年の4年生のリベンジをしようと。プライドを取り戻すチャンスが来たので、勝ててよかった。ただ、内容としてはまだ成長できるところがたくさんある。それらをしっかりと反省し、決勝戦はもっといいプレーができるようにがんばりたい」
試合の流れを決めたのは、やはりスクラムだった。
早稲田大を率いる大田尾竜彦監督が「スクラムで反則せずに組み勝ってくれた。それが(4トライを挙げた)前半につながった」と言えば、佐藤も「スクラムで(相手から)ペナルティが取れて、前半でいい流れに持ってくることができた」と胸を張った。
昨季、大阪の地で京産大にプライドを踏み潰された姿はそこになかった。
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著者プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。