【自転車】片山右京「欧州の一流チームに勝つためには」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

 土曜日のクリテリウムは、宇都宮駅前のメインストリートを封鎖して1.55キロの周回コースを設営し、午後3時50分にスタート。柵で仕切られたコースサイドを、4万1000人の老若男女が埋め尽くした。眼前を猛スピードで駆け抜けてゆくレーサーたちに対し、年齢や性別を問わず大勢の観客が惜しみなく声援をおくる姿は、日本でまだマイナースポーツに過ぎないサイクルロードレースが、ここ宇都宮では確実に、マラソンや駅伝と肩を並べる観戦競技として定着していることを感じさせた。

 この日のメインレースに先立ち、「レジェンドクリテリウム」なるイベントも開催された。地元栃木県出身の競輪選手・神山雄一郎や、インターマックス代表の今中大介氏らとともに、片山右京も自身のチームユニフォームに身をつつんで出走。わずか2周のレースだったが、優勝した神山に続いて片山は3位でゴール。沿道のファンたちから大きな喝采を浴びた。

 その後、本番のクリテリウムレースには、TeamUKYOから土井雪広、リカルド・ガルシア、窪木一茂、住吉宏太、山本隼の5名が参戦。全20周の集団ハイスピードバトルは、チーム・スカイのクリス・サットン(オーストラリア)が制した。

 翌日は、舞台を宇都宮市郊外の森林公園に移し、ジャパンカップウィークのメインイベントとなるロードレースが開催された。森林公園とその周辺道路14.1キロを周回し、計151.3キロで争われるコースは、本場欧州に劣らない急峻な登り坂などの見どころが多く、公式発表で観客数は8万人に達した。

 この日、TeamUKYOは窪木と住吉に代えて、ホセ・ビセンテとサルバドール・グアルディオラが参戦。レースは、序盤からホセを含む4選手が飛び出して、逃げ集団を構成した。ホセたちは着々と後続のメイン集団との差を広げ、一時はその差を6分以上にまで広げた。やがて、メイン集団のプロツアーチーム勢がプロトンを完璧にコントロールして、この大きな差を少しずつ、しかし着々と詰めていった。

 ホセはレース終盤までトップを走行し、おおいに存在感を発揮したものの、残り2周でメイン集団との差は1分を切り、ほどなく吸収されるに至った。その後、レースはプロツアーチームが完全に支配。最後は9名の激烈なスプリントバトルがゴールラインまで続き、ガーミン・シャープのネイサン・ハースが2011年以来2度目の優勝を達成した。一方、レースを途中まで牽引したホセは、山岳賞を獲得した。

 TeamUKYO監督の片山右京は、この日の戦いを終え、ひとまずは満足といった表情でレースを振り返った。

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