ホンダも驚くバトン6位入賞。「上位で戦うレースは楽しいものだ」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 他メーカーとの出力差を縮めるべく、燃焼室の改良開発も進めているが、それにはまだ時間がかかる。そこで、それに先だって吸気系だけでもトークン(※)を使って改良し、少しでも出力を上げようという目算だった。しかし、その開発も間に合わず、コーナーが実質的に8個しかないパワーサーキットのレッドブル・リンクなのに、従来スペックで臨まなければならなくなってしまったのだった。

※パワーユニットの信頼性に問題があった場合、FIAに認められれば改良が許されるが、性能が向上するような改良・開発は認められていない。ただし、「トークン」と呼ばれるポイント制による特例開発だけが認められている。各メーカーは与えられた「トークン」の範囲内で開発箇所を選ぶことができる。

「今週はあまり期待しないでください。雨に望みをかけるしかないと思います......」

 あるホンダ関係者は、グランプリ週末を前に胸の内をそう率直に語っていたが、まさしく予選ではその通りの展開になったというわけだ。しかし、日曜の午後に予想されていたにわか雨が午前中に降ってしまい、決勝では天候の波乱は期待できそうになかった。

 それでもスタートで2位に浮上したバトンは、7周にわたってフェラーリのキミ・ライコネンの前でポジションをキープしてみせた。

「7周も2位を守れるとは思っていなかったからビックリしたけど、キミを抑え込んで楽しかったよ」

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る