【ボクシング】スーパーバンタムで復活ののろし。長谷川穂積「俺がボクシングを続けるワケ」 (4ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 作田祥一●撮影 photo by Sakuta Shoichi

――つまり、今なおボクシングが好き?

長谷川 だから試合をするんです。ボクシング以外にやりたいことがあったら、今の状況、ボクシングなんて絶対にやらないです。儲からないですもん。でも俺には、ボクシングしかない。だから試合をするんです。

――ボクシングしかないと、いつ、どうやって気付いたんですか?

長谷川 何があったわけじゃない。自然と、そう思えた。本当、ここ数ヵ月の話です。

――つまり、12月22日のアルツロ・サントス戦が、「ボクシングしかない」と気付いた、初めての試合?

長谷川 そうですね。

――今度こそ、神様に聞きますか? ボクサー長谷川穂積は強いのか、と。

長谷川 もう、聞こうとは思わないです。2年間ずっと、戦う理由、モチベーションを探してたんです。でも、強いか、弱いかすら、もう、どうでもいいんです。強かったからどうだ、弱かったからどうだってことじゃない。そんなことよりも、ボクシングが好きだからする。それだけです。もう、戦う理由なんていらない。あえて、戦う理由を問われれば、「ボクシングが好きだから」。それだけでいいんです。

 12月22日、対サントス戦。その試合に、名誉や名声、世界王者のベルトがかかるわけではない。だが、長谷川が「次はタイトルマッチです」と再び歩みだした、小さくも無限の可能性を秘めた第一歩。観客は、長谷川穂積が2年もの間、苦悶しながら見出した戦う理由を、その胸に刻むはず。

 ボクシングが好きだから――。

 そのシンプルな答えに込められた想いを見届ける価値は、いかほどか。ただ、「なぜ戦う?」という問いは、「なぜ生きる?」という問いに似ている。

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