【新車のツボ27】アルファロメオ・ジュリエッタ 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 カッコよくてスポーティな輸入車はほしいけどド定番のドイツ車だけは死んでもイヤだ......という愛すべきヘソ曲がり(ワタシもそのひとりだ)待望のクルマがついに上陸した。このアルファロメオ・ジュリエッタは、車格としてはVWゴルフやBMW1シリーズなど定番人気のドイツ車とガチンコ競合。価格は300万円台。すなわち、多くの人が現実的な夢を見られるブランニューのイタリア車が、ひっさびさに出てくれたわけだ。

 イタリア車......なかでも"アルファロメオ"と聞いて、みなさんが抱くイメージはどんなものだろうか?

 とびきりオサレなデザイン。プオオオーと甘美なエンジン。プチフェラーリを思わせるスポーツカー。あるいは「ジローラモさんが乗ってナンパしてそう!?」なんて思う人もいるかもしれん。まあ、見た目がハンサムで調子のいいときはとびきり気持ちよく走って、だれもがちょっと憧れる存在だが、しかし実際に大枚はたいて買うのはハードルが高い。すぐに壊れそうだし、壊れたらお金がかかりそう。カッコはいいけど実用性がダメそう......。

 ......なんて勝手に想像してしまったが、イタリア車やアルファロメオに対するそういう一般イメージは、欧州でも似たようなもの。欧州市場でのアルファロメオも、実際のところ機械としての品質や信頼性への不安、あるいは衝突安全性や燃費がビジネスの足を引っ張ってきたことは否定できない。

 しかし、前身モデルから約10年ぶりにモデルチェンジされて、わざわざ同社の歴史的名車"ジュリエッタ"の名を復刻させた最新アルファロメオは、まさにそういう負の部分を完全に払拭すべく、フィアットグループの技術の粋を集めた超力作である。アルファロメオは戦前から長い歴史を持つ老舗(しにせ)ブランドだが、今では完全なフィアットの一事業部門である。

 というわけで、ジュリエッタは見た目こそ伝統のオサレデザインだが、実際のブツは従来の常識をくつがえす「イタリア製ドイツ車」とでも呼びたくなるデキである。

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