【新車のツボ28】ポルシェ・ケイマン 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 ポルシェといえば、世界中のクルマ専門家およびマニアが一目置くスポーツカーメーカーである。ポルシェはドイツ車だが、ドイツ車ぎらいでもポルシェだけは別腹!?......という好事家(ワタシもそのひとり)も多く、世界のスポーツカー開発者は例外なく、その開発目標にポルシェの名をあげてきた。

 ポルシェの代名詞的存在といえば、やはり今も昔もスポーツカーの"911"である。ポルシェ911は全車1000万円超えの超高級車だが、911に手が出ない人にはその弟分のケイマンがある。まあそれでも最も安くて600万円強だから手ごろとはいえないが、911に較べればハッキリと安い。

 ポルシェの面白さ......というか商売上手なところは、911とケイマンの車体前半部とエンジンが基本的に同じということだ。もちろん、911とケイマンでは表面上のデザインや装備類は差別化されているし、エンジン排気量もケイマンのほうが小さい(=低出力)が、この部分の基本骨格設計は共通なのだ。

 911とケイマン最大の違いは、だから車体の後半部にあって、911が大排気量エンジンをリアタイヤのさらに後ろにぶら下げるリアエンジンなのに対して、ケイマンは比較的小排気量エンジンをリアタイヤ前方に搭載する"ミッドシップ"となる。こうしてポルシェは中身を大胆に共用化することでコストダウンしつつも、最終的にできあがるクルマは確実にちがうものにしている。

 911の排気量は最低でも3.4Lだが、このケイマンは2.9L。だから、単純な加速力や速さという点でははっきりと911より劣る。また、エンジン位置から想像されるとおりケイマンのほうが明確に尻軽で、駆動輪にズシッと荷重がかかる911ほど加速レスポンスも鋭くなく、数字的にも感覚的にもケイマンのほうが軽快......というかカジュアル。乗り味の重厚感では911に分があって、高価格に見合ったありがたみがキチンとある。

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