赤井沙希のプロレスデビューに、父・英和は「楽しんで」。母は「親子の縁を切る」と猛反対した (5ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 母は激怒した。モデルとして上京を許した。プロレスをやらせるために上京させたわけじゃない。だれかが必ずあなたをそそのかしている――。

「母にめっちゃ調べられて、『高木三四郎ってだれや!』と言われて『やめて! 社長は何も悪くないの!』みたいな(笑)。『親子の縁を切る』とも言われました。母は父が試合で事故を起こして、助かっても植物人間になると告げられたり、その時に姉を妊娠していたり、嫌な思い出がたくさんある。しかも娘やし、ものすごく心配だったと思います。でも父は闘いの楽しさを知っているので、『アドレナリンが出る感覚を楽しんでほしい』と言われました」

 母の猛反対を押し切り、2013年8月18日、両国国技館大会2daysで本格的にプロレスデビュー。母を招待したが、6人タッグの対戦相手のひとりだった世Ⅳ虎(現・世志琥)にボコボコにされ、流血した。その姿を見た母は、赤井に言った。「メンチが全然弱い」――。

「ダメ出しされたんです。『あんたは手脚が無駄に長いから、腰が引けてる。部屋にロープを張って、ウィービングの練習をしろ』って。母も根っこの部分では闘いが好きなんだと思います。今も心配はしてるんですけど、認めてはくれていますよ。『試合が終わったら、無事ですという連絡は必ずしなさい』と言われてます」

 華々しくスタートした、プロレス人生。しかしそれをよく思わない人たちもいた。

(後編:偏見とバッシングの嵐。それでも闘い続ける理由>>)

【プロフィール】
■赤井沙希(あかい・さき)
DDTプロレスリング所属。1987年1月24日、大阪府生まれ、京都府育ち。174cm、53kg。中学2年生の時、街でスカウトされ、モデルデビュー。2011年、TBS系ドラマ『マッスルガール!』でプロレスのリングに上がる。2013年8月18日、DDT両国国技館大会にて本格的にプロレスデビュー。2014年、「プロレス大賞」で女子初の新人賞を受賞。翌年1月、アイアンマンヘビーメタル級王座を獲得。2018年10月、DDTに正式所属となる。2020年6月、KO-D6人タッグ王座を獲得。男子プロレス団体の紅一点として活躍を続ける。
Twitter>>@SakiAkai

【大会情報】
「D王 GRAND PRIX 2021 Ⅱ in Ota-ku」
日時:2021年11月3日(水祝) 開場12:30 開始14:00
会場:東京・大田区総合体育館
公式サイト>>

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