田中理恵が一目惚れした、体操競技の「リオの星」 (2ページ目)

  • スポルティーバ編集部●文 text by Sportiva
  • 和田直美●写真 photo by Wada Naomi

――田中さんが今後伸びそうだな、将来性があるな、と感じるのはどういう選手ですか?

「体操の"線"とか、"さばき方"を見ますね。線というのは、私の見方ではありますが、立ち方、姿勢ですかね。立ち方ひとつで、審判の方は『あっ、これは強そうだな』というのがわかるんです。

 さばき方というのは、見せ方、おしゃれな見せ方ということになるでしょうか。例えば......つり輪で十字懸垂をして、3秒間静止します。だいたいの選手は、ただ前を見ているだけなんですけど、内村航平選手は、その最後にピッとちょっと顔を上げるんです。めっちゃしんどい演技でも『まだ余裕あります』と見せるんですね。これを『いいさばき方するな』と言ったりします。女子選手で言えば、床の演技に何となく入るのではなく、きれいなポーズを決めてから始めたり......。これが審判へのアピールになるんです。体操を見るとき、そういう点に注意すると、よりおもしろいですよ」

田中理恵さんが大いに期待している内山由綺選手。 photo by Nikkan sports田中理恵さんが大いに期待している内山由綺選手。 photo by Nikkan sports

――では、まず女子で注目の選手を教えていただけますか?

「トップの寺本明日香選手(19)、笹田夏実選手(19)に続くのが、内山由綺選手(17)でしょうか。体線もきれいですし、バネもあるし、まさにオーラのある"立ち方"をしますね。最初に演技を見たときから、この子は伸びるな、と思いました。練習の姿を見ていると、性格的にも負けず嫌い。体操も最後はメンタルがものをいいますから。(同じ日体大の)内村選手を間近で見てきて、本当にそう思います。

 彼女の床の表現力に注目して、みなさんにも見てほしいです。音楽と表情が合っていて、ひとつの物語を作ろうとしているのが伝わってきます。

 年は少し離れているんですけど、彼女が中学生のときに、私にアドバイスを求めてきたんです。『理恵ちゃん、しんどいのに、何で笑っていられるの?』って。人にどんどん聞けるというのは、素晴らしいと思うし、強くなりますよね。『明るい音楽の時は明るい表情をして、ちょっと暗い音の時は真剣な表情をして、と変化をつけると見ているほうも楽しくなるよ』って、その時に伝えました。やっぱり審判も楽しいな、もう一度見たいなと思う演技には情も入るし、点が付いてくるんですよ」

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