メジャー3年の経験を糧に、川﨑宗則の打撃が開眼

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 トロント・ブルージェイズの川﨑宗則が7月の月間打率.307をマークし、メジャー3年目にして初めて3割を超えた。ちなみに、月間84打席も、23安打も過去最多。守ってもセカンドだけでなくサードもこなすなど、チームにとって欠かせない存在となっている。

7月の月間打率がメジャー移籍後初めて3割を超えた川﨑宗則。7月の月間打率がメジャー移籍後初めて3割を超えた川﨑宗則。

 この打撃好調の川﨑に3割へのこだわりを聞いても、「ありません」と笑顔で返される。マルチ安打を記録しても、タイムリー安打を放っても、「考えは何もないですよ。ボケーっとバッターボックスに入って、あとは体に任せるだけ」と素っ気ない。だからといって、適当に答えているわけではない。「ボケーっと立って」は"力を抜いてリラックス"、「体に任せる」は"ボールに体が自然と反応する"ことを意味している。何はともあれ、川﨑がバッティングで存在感を示せるようになったことが嬉しい。

 メジャー3年目にして結果が出るようになった要因は何なのか? これまで川﨑は、打席を重ね、失敗を重ね、試行錯誤を重ねてきた。バットも重さも変えたし、間の取り方もいろんな方法を試してきた。そうした経験を糧に、川﨑はメジャーで戦えるバッティングを身に付けた。

 結果を出した時でもめったに本音を言わない川﨑だが、最近、彼の口からこんな言葉がよく出てくるようになった。

「前に対戦してやられている投手なんでね。ボールの軌道を覚えていた。だから、反応することができた」

 よくよく考えてみれば、結果が出るようになったからといって、自分の口から好調の要因をこと細かく説明する選手はほとんどいない。だから川﨑が、「何もないです。野球ができていることが幸せ」と語るのもよくわかる。だが、対戦相手は川﨑の変化をしっかりと感じとっていた。

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