「これぞオリックス!」開幕ダッシュならずも解説者、他球団スコアラーが評価する2024年の「ナカジマジック」

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

 リーグ4連覇を目指すオリックス・中嶋聡監督は、開幕前にこう語っていた。

「苦しいシーズンになると思うし、団子状態でいくと思う。離されることなく、しがみついていきたい」

 いざシーズンが始まり、各球団の対戦カードが一巡した時点(4月14日)の成績は7勝8敗で順位は3位。4月13、14日の日本ハム戦に今季初の連勝で順位を上げたものの、開幕から3カード連続して負け越すなど、厳しいスタートとなった。

ここまでチーム7試合に登板している吉田輝星 photo by Koike yoshihiroここまでチーム7試合に登板している吉田輝星 photo by Koike yoshihiroこの記事に関連する写真を見る

【143試合をどう戦うか】

 このオリックスの開幕スタートをどう見ればいいのか。解説者の野田浩司氏は次のように語る。

「去年も含め、近年のオリックスはスロースターターです。もちろん、開幕ダッシュするに越したことはないですが、オリックスは143試合をどう戦うかというチームです。巡り合わせとして、開幕時に調子の上がらない選手が揃ってしまっただけで、そこまで深刻ではないと思います」

 そしてこう続けた。

「中嶋監督とすれば、今年をどうやって戦っていくか、今は選手を見極めている時期だと思います。たとえば、先発投手は8人で回していました。宮城大弥、山下舜平大といったローテーションの軸になる投手から、2年目の曽谷龍平やルーキーの髙島泰都を含めた8人。当初は先発の一角と見られていた山岡泰輔が故障で出遅れていますが、この起用を見て、思いきりのいい中嶋監督らしいなと感じました。ちなみに去年は、開幕してから9人で回していました」

 今季のオリックスと言えば、ドジャースに移籍した山本由伸と日本ハムに移籍した山?福也の抜けた穴をどう埋めるかに注目が集まっている。ただ、中嶋監督の考えはこうだ。

「埋めるんじゃなくて、新しく積み上げるという形にしたい」

 そもそも中嶋監督の頭の中に、昨シーズンのようにぶっちぎりで優勝するなどない。前述したように、団子状態のなかでいかに離されずについていけるか。野田氏の表現を借りれば、「その準備を整えているのが今の時期」と言える。

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