ゴールドシップは、有馬名物「奇跡のラストラン」を見せられるか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 関西の競馬専門紙トラックマンによれば、ここ2戦のふた桁着順には、それぞれ理由があるという。

「宝塚記念は、2秒前後の“大出遅れ”ですからね。あそこから巻き返せ、というほうが無理な話です。ジャパンカップにしても、天皇賞・春(1着。5月3日/京都・芝3200m)でゲート入りをごねて、宝塚記念でとんでもない出遅れをして、そこでまた何かアクシデントがあれば、ペナルティーとして最大目標としていた有馬記念に出られなくなる可能性があった。そのため、レース前はゲート練習を中心にして、馬のテンションを上げ過ぎないように調整せざるを得なかった。つまり、ジャパンカップのような大レースに挑む仕上げではなかった、ということです。だから、あの着順もやむ得ないことだし、ジャパンカップはノーカウントにしてもいいくらい。とにかく、ここ2戦がふた桁着順だからといって、ゴールドシップの能力面に“衰え”があるなんてことはありませんよ」

 ゴールドシップの能力的な“衰え”についての心配は、どうやら杞憂のようだ。それどころか、このトラックマンによれば、次は「ゲート難を見せればペナルティー」といった足かせがなくなった分、ゴールドシップは見違えるほどよくなっているという。トラックマンが続ける。

「この馬は調子が悪いと、すぐに歩様が硬くなってぎこちなくなるんですが、今はすごくスムーズに歩けています。攻め馬もぎりぎりまで追い込んでいるのに、逆にその強い調教が馬のやる気を引き出している。今度は、間違いなく能力全開でしょう。きっと、強いゴールドシップが見られると思います」

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