名波浩の代表総括。オランダ戦で南アW杯からの進化が見えた

  • 飯尾篤史●構成 text by Iio Atsushi
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

名波浩の視点
2013年ザックジャパン検証(1)

日本代表が2013年の戦いを終えた。5大会連続のW杯出場を決めながら、6月のコンフェデレーションズカップでは3連敗。そこから守備面での課題が露呈して、チームは下降線をたどっていった。それでも、11月の欧州遠征では強豪相手に善戦し、結果を残した。そんな紆余曲折あった今年のザックジャパンについて、解説者の名波浩氏が検証。まず今回は、今年最後の2戦で、それまでとは見違えるような戦いができた要因に迫る。

オランダ、ベルギー戦では相手に先制されてもひるまずに戦った日本代表。オランダ、ベルギー戦では相手に先制されてもひるまずに戦った日本代表。
 10月に続いて、11月に欧州遠征を実施した日本代表。その初戦となるオランダ戦(11月16日)は、2010年南アフリカW杯の前年(2009年9月5日、0-3)と本番(2010年6月19日、0-1)で対戦したときから、日本がどれぐらい成長できたかを推し量る、格好の試合だった。

 4年前、3年前の対戦を経験している選手たちもそれを意識していたはずで、目標は明確だったと思う。当時とはまったく違うコンセプトのスタイルがどこまで通用するのか、だ。

 まさにW杯本番に向けても試金石となる一戦。守備では、ハイプレッシャー、コンパクトフィールド、リスクマネジメントといったキーワードを掲げて臨んだが、開始13分、セーフティーにクリアすべきところでバックパスをミスして先制されると、39分にはロッベンにスーパーゴールを叩き込まれてしまった。

 ここまでは、完全に負けパターンだった。しかし0-2になってからの、日本の戦いぶりは素晴らしかった。高い位置からボールを奪い返しにいき、攻撃のスイッチを入れようとした。「前半はこのまま我慢しよう」という考えは一切なく、コンセプトを変えずに向かっていった。それが、この試合の大きなポイントになった。

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