リバプール、マンチェスター・C、アーセナルの三つ巴の優勝争いを抜け出すのはどこだ? プレミアリーグの面白すぎる終盤戦を水沼貴史が解説

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

世界最高峰と評されるイングランド・プレミアリーグが面白い。日本人選手所属のチームがハイレベルな優勝争いを繰り広げている。そんなリーグの終盤戦の展望と、期待の日本人選手たちは活躍できるのか、中継の解説を務める水沼貴史氏に聞いた(※データは3月4日の第27節終了時点)。

【遠藤航はチームの核のひとりになった】

 リバプールの遠藤航は、シーズン序盤こそなかなか出番がなかったが、今ではアンカーポジションのファーストチョイスになっている。昨季までアンカーの主力だったファビーニョ(アル・イデハド/サウジアラビア)が抜けた穴を、遠藤が見事に埋めた形だ。これは先日のカラバオカップ優勝にも間違いなくつながっている。

リバプールは現在プレミアリーグ首位。遠藤航も活躍 photo by Getty Imagesリバプールは現在プレミアリーグ首位。遠藤航も活躍 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る また、遠藤の活躍によって、それまでアンカーを務めていたアレクシス・マックアリスターをより前のポジションで起用できるようになり、攻撃的なオプションが増えたことは大きい。

 加入当初は、ボールを奪えてもその先がなかなかうまくいかなかった。若い選手とは違い、現在31歳の遠藤は即戦力での活躍が求められていたし、周りからもそういった目で見られていただろう。

 それに応えるだけのトレーニングでの努力があって、試合を重ねるにつれてパフォーマンスが向上。奪ったあとに、すぐに攻撃につなげるパスやスルーパスも出せるようになった。周りからも認められ、いまでは遠藤にボールが集まるようになった。

 チームのスタイルに慣れ、プレミアリーグでのリズム、タイミングを掴んできてから、ボールへアタックする判断もどんどん早くなり、自信もさらに深めていると感じる。後方にフィルジル・ファン・ダイク、イブラヒマ・コナテという世界でも屈指のセンターバック(CB)コンビが控えることで、より積極的に奪いに出られるという面もあるだろう。

 リバプールはここまで前線の選手に多くのケガ人が出てしまい、非常に苦しいなか、若い選手を積極的に起用しながらよくしのいでいる。終盤に向けてタフな相手が多く残っているが、ユルゲン・クロップ監督が今季限りでの退任を発表し、チームは特別なモチベーションで団結している。

 エースのモハメド・サラーをはじめとする主力選手たちが戻ってくるまで、今いる選手たちの踏ん張りが必要だ。そのなかで1年目にしてチームの核のひとりとなった遠藤は、これからさらに重要な存在になっていくだろう。

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