ドゥンガが指摘する今の日本代表に欠けているモノ「W杯でグループリーグを突破することに満足しちゃいけない」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki

――現在日本代表を指揮する森保一監督も、ドゥンガさんが磐田でプレーしていた当時は、まだサンフレッチェ広島の現役選手でした。印象に残っていることはありますか。

「彼に限ったことではないけれど、あの頃の日本人選手全体に言えることとして、『なぜ、そこで集中力がきれてしまうのか』というのは感じていた。50mのロングパスはうまくコントロールするのに、2mのパスを簡単にミスしてしまう。それは、集中力の問題。日本人選手には全体的にそういう傾向があったね」

――当時と比べて、今の日本人選手はどうですか。

「もっとよくならなければいけない。たとえば、ロシア(2018年ワールドカップ)でのベルギー戦にしても、せっかく2-0で勝っていたのに、あそこで逆転負けしてしまうのは集中力の問題だ。

 2点をリードした時に、勢いに任せてサッカーをしてはいけない。『今は相手の攻撃に耐える時間だ』とか、そういう(試合の流れに応じた)メカニズムのなかでプレーしなければいけなかったんだ」

――とはいえ、ドゥンガさんもブラジル代表として出場していた1998年大会以来、日本代表は7大会連続でワールドカップに出場し、ベスト16にも3度進出しています。それなりに成長しているのではないですか。

「自分だけではなく、日本を知っているブラジル人選手はみんな、日本代表が今のようにワールドカップに出場して戦えると思っていたからね。むしろ自分は、グループリーグで敗退するとか、グループリーグを突破したら(すぐに決勝トーナメント1回戦で敗退して)終わるというのではなく、もっと上まで決勝トーナメントを勝ち上がっていけるようになると思っていたんだけれど......」

――まだ物足りない、と。

「日本は今、どこの国の代表と対戦してもいい試合ができるんだからね。ワールドカップに行けることに満足しちゃいけない。グループリーグを突破することに満足しちゃいけない。もっともっと上に行けるようになっていかなければいけない。いい試合をしているだけでは何も解決しないのだから、勝たなければいけないね」

――最後にドゥンガさんの近況についても聞かせてください。現在はブラジルで、どんな活動をされているのですか。

「自分で建設会社を持っているのと同時に、慈善活動にも力を入れている。その他にも講演会に呼ばれることが多くて、いかにチームをまとめるかという、リーダー論についての話をよく頼まれるよ」

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