北海道コンサドーレ札幌の攻撃的サッカーへの挑戦はまだ志半ば 不用意なミスにミシャは「相手が大学生であっても勝つのは難しい」 (3ページ目)

  • 志田尚人●取材・文 text by Shida Naohito
  • photo by Getty Images

【相手に簡単にチャンスを与えるのも"らしさ"】

 さて、第6節である。試合は開始早々、右サイドの金子拓郎の鮮やかな突破から岡村大八が決めて札幌が先制。主導権をがっちりと握ったかに思えた。ところが、あろうことか何気ない1本のロングパスから同点ゴールを決められ、掴んだはずの主導権をあっさりと手放してしまう。

 浅野雄也のゴールで再びリードを奪うものの、またしても不用意なミスから失点。さらにもう1点奪われ、前半のうちに試合をひっくり返されてしまった。後半、キム・ゴンヒの同点ゴールで食い下がるが、最後は力尽きた格好で決勝点を許してしまうのだ。

 良く言えば「スペクタクルな試合」ということになるのだろうか。ペトロヴィッチ監督の目には、そう映らなかったようで、この敗戦を大いに悔やんだ。

「ああいうミスを繰り返してしまったならば、相手が大学生であっても勝つのは難しいだろう。もったいない失点をしていた」

 あと一歩のところで勝ちきれなったり、いとも簡単に相手へチャンスを与えてしまったり、そんなところも現段階で札幌が抱える"らしさ"。とすれば、攻撃的サッカーへの挑戦は、志半ばといったところなのかもしれない。

 その一方、この日、もう一つの"らしさ"に魅せられたサポーターも少なくなかったようだ。「惜しかったよな~。悔しいけれど、すごく面白い試合だったよね」との声が、どこからともなく聞こえてきたものだ。

プロフィール

  • 志田尚人

    志田尚人 (しだ・なおひと)

    フリーライター。1968年生まれ、北海道出身。タウン誌編集者を経て、1996年にコンサドーレ札幌の誕生をきっかけにオフィシャルガイドブック、オフィシャル雑誌の編集長に就任。2002年からフリーランスに転身し、現在はサッカーと野球をメインにライターとして活動中。

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