Jリーグ歴代FWトップ10を鄭大世が選出 「化け物に近い身体能力」「初めて吹っ飛ばされた」というストライカーたち

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

Jリーグで通算100ゴール以上を挙げ、ドイツや韓国でも活躍。昨年現役を引退した鄭大世さんにインタビュー。同じFWのポジションですごいと思った歴代のJリーガーを、トップ10形式で挙げてもらった。

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【シュートが一番うまい】

10位 矢島卓郎(元清水エスパルス、川崎フロンターレほか)

 僕は矢島卓郎がケガをしていなかったら、絶対に日本代表になっていたと思うんです。消えた天才じゃないですけど、それくらい才能に恵まれたFWでした。ただ、彼はシーズンの6、7割はケガをしているんですよね。それでも30歳を超えるまで現役を続けられたので、それだけポテンシャルがすごかったということです。

 身体能力が抜群に高くて、体重が80kgを超えているのにスピードもものすごくある。化け物に近いなと思うくらい日本人離れしていました。

 清水エスパルスのあとに川崎フロンターレに移籍してきて、僕とポジション争いをしたんですけど「これはちょっとやばいかもしれない」と思うタイミングで、彼がケガをしてしまうので、なんとかポジションを守れていました。

 今でも覚えているのが、京都サンガF.C.戦で川崎移籍後の初ゴールを決めた時。相手DFのシジクレイを引きずり回しながら、最後はなぎ倒してゴールを決めたんですよ。僕もまだプロ1年目で、先発で出たことがなかった時の話。こいつはとんでもないなと思いましたね。

9位 オルンガ(アル・ドゥハイル)

 オルンガは彗星の如く現れて、あっという間にいなくなっちゃいましたね。短い間しかプレーを見る機会がなかったのにもかかわらず、とんでもないインパクトをJリーグのファンの頭に残していきました。

 彼は身体能力が化け物で、スピードもものすごくて、足が長いからその分ストライドがあって、ムチのような振り足からとんでもない威力のシュートを打ってくるんですよね。規格外とはまさにオルンガのような選手のためにある言葉で、サッカーのセオリーが通用しないんですよ。

 サッカーには「こう守らないといけない」というベース、セオリーがあるわけじゃないですか。それをしっかりと守って、対応しているにもかかわらず、オルンガはその上からぶん殴るようにして無効化してしまう。あれは反則でしたね(笑)。

8位 マグノ・アウベス(元大分トリニータ、ガンバ大阪ほか)

 今回選ばせていただいたランキングのなかで、シュートが一番うまいのはマグノ・アウベスだと思います。ミドルレンジからでも平気で決めてくるので、止められないんですよね。どう対処していいかわからない。

 これは安田理大が言っていたんですけど、マグノ・アウベスはインスイングでファーサイドを狙う時、ポストの外側を狙うらしいです。そうするとちょうどボールが曲がった時にポストの内側を叩いて入るんですね。最初からポストの内側を狙うと、GKが取りやすいところに飛んでしまうんですよ。

 それを聞いて練習したんですけど、理屈はわかっていながらまったく習得できなかったですね。試合で使うにはやはり冷静さと習慣が必要なんですけど、ポストの外へ打つのは僕には難しかった。マグノ・アウベスの、ボール1つ分ポストの外を狙ったシュート技術は変態的なレベルでした。

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