北海道コンサドーレ札幌の攻撃的サッカーへの挑戦はまだ志半ば 不用意なミスにミシャは「相手が大学生であっても勝つのは難しい」 (2ページ目)

  • 志田尚人●取材・文 text by Shida Naohito
  • photo by Getty Images

【J1に留まっているという事実】

 その大英断から、6年目のシーズンを迎えている。ペトロヴィッチ体制1年目となる2018年はリーグ戦で4位に入ったばかりか、2年目となる2019年にはルヴァンカップで決勝に進出。かつて数年おきにJ1とJ2の間を行ったり来たりしていたことなどまるでウソのように、札幌はJ2に一度も降格することなく、J1の舞台で今日まで戦い続けてきた。J1に留まっているという事実こそが、札幌の成長を何より物語っているだろう。

 ペトロヴィッチ監督が就任してからこの5年間の歩みを、札幌の三上大勝GMはこう振り返る。

「いざ攻撃的なサッカーという目標を掲げたものの、最初の頃は先行きが見えず、不安はありました。そんな意識が変わり始めたきっかけは、やっていることに対して結果が伴ってきたことです。結果が出始めたことで『やれるんだ!』という自信が芽生え、それが徐々に確信に変わっていったとでも言いましょうか。経験して初めてわかることってたくさんあって、そのすべてが今日のコンサドーレにつながっていると思います」

 ペトロヴィッチ監督が試合前、選手に掛ける3つの言葉がある。それが「走る」「戦う」「規律を守る」であり、札幌の目指す攻撃的サッカーのベースになっている。それがあった上で攻撃的な守備と相手陣へのアタックを繰り返すことで、札幌の攻撃的サッカーは形作られている。

 シーズンを重ねるごとに選手、チームにその意識は浸透し、攻撃的サッカーが札幌のスタイルとして定着しつつあると三上GMは感じ取っている。それではその攻撃的サッカーが果たして今、どの程度のレベルに達しているのか。毎度、お互いのサッカースタイルが真っ向からぶつかり合う川崎戦こそが、それを確認する格好の相手というふうに認識している。

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