【恩田社長の600日】「ぎふの力」を結集して観客15000人達成 (2ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi

 運命の瞬間、いつものように運営担当が観客数のカウント数を書いた紙を、ピッチの片隅で試合を見ている私のもとに持ってきます。そこには......

『15,138』

 我々は強く頷き合い、スタッフに「15,000達成です!」とインカムを飛ばした後、ビジョンに観客数を表示しました。その時です。スタンドからどよめきと拍手が巻き起こったのです。きっと多くの人が「15,000人プロジェクト」を知ってくれていたからこその反応だったと思います。超満員のスタンドからの大声援、私の見たかったものが、目の前に広がっていました。

 惜しむらくは試合が0対4の惨敗だったことですが、試合後のコメントで当時の磐田のシャムスカ監督が「多くのお客さまに囲まれて、素晴らしい雰囲気の中プレーをさせてもらえた。岐阜のみなさまに感謝したい」と敵将からぎふへの謝辞をいただけたのです。誇りに思いました。

 プロジェクトの成功要因は何だったのでしょう? ビジターゴール裏を埋め尽くした約2,000人のジュビロサポーターの動員は大きかったです。しかし何より、私がその気になり、クラブがその気になり、サポーター、スポンサーと"その気"の輪がしっかりと浸透していったことだと思います。簡単には動かない岐阜県民が動いたのです。あの日スタジアムを訪れた人は、満員のスタンドという「ぎふの力」を体感しました。私にとって一生忘れられない光景です。

 クラブは勢いに乗り、次のゲームは13,016人、その次は12,465人と3試合連続1万人を突破しました。何もかもうまくいっていた頃でした。

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