柏・工藤壮人が語る「ACLはJリーグと何が違うのか」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 2012年、チーム最多得点を記録し、天皇杯は準々決勝、準決勝と連続得点で優勝。

 2013年、J1で19得点。ACLでは6得点を挙げ、準決勝へ。ナビスコカップのファイナルで決勝点。

「レイソルが良いときも悪いときも自分はそこにいて、毎年のようにタイトルに関われてきた。その自負と幸せはありますね」

 工藤は落ち着いた語調で言う。柏の生え抜き選手としての自覚が強い。それは忠誠心にも似ているが、むしろクラブを先導するリーダーとしての気骨だろう。

「自分の理想は、今もキタジさんです」

 工藤は敬慕を語る。13シーズンにわたって柏でプレイした北嶋秀朗は、クラブ最多得点記録を持つが、記録以上に記憶に残るチームのシンボル的FWだった。

「レイソルの9番は、とにかく格好良くなければならない。このチームでは誰が点を取るべきか、キタジさんは9番を背負ってそれを証明してきました。自分はそれを肌で感じてきたし、今はその番号を背負っている。だからキタジさんに近づきたいし、追い抜きたい。これは自分だけの感覚かもしれませんけど。チームの大事な場面でゴールという結果を出す、というのは自分の使命だと受け止めています」

 彼は今でも鮮明に思い出す。2008年8月、日本クラブユース決勝戦を翌日に備えていたときのことだ。当時、柏U-18を率いていた吉田達磨監督(現在はトップチーム監督)に廊下へ呼び出された。新横浜のプリンスホテル、エスカレーターがある吹き抜けで天井は見えなかった。

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