幼馴染みの髙梨沙羅を追いかけて。勢藤優花の決意とは。 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by REUTERS/AFLO

 こう話す勢藤は、自分のすぐあと、小学2年からジャンプを初めて、一気に力を伸ばした髙梨を「すごいな」と思って見ていただけだという。競技にのめり込んでいった髙梨に比べ、それほどジャンプが好きなわけではなく、練習量も少なかった。一気に日本のトップへと駆け上がって行く同級生を見ても、「そのうち私も強くなればいいな」と、思っていただけだった。

 だが、髙梨が世界のトップに躍り出た中学2年の頃からは「私も沙羅のようになりたい」と、焦るような気持ちが生まれてきたという。

 ただ、その焦りとは裏腹に、高校に進んでからも勢藤はなかなか結果を出せなかった。W杯組がいない国内大会でも、ふた桁順位の方が多かった。

 そんな状況が変わり出したのは、2014年だった。地元の上川ジャンプ少年団のコーチに、ジャンプでW杯に出場したことがある、笠間法孝氏が就任したのだ。

「昨シーズンまでは助走でスキーにちゃんと乗れず、他の人と比べるとスピードが2kmくらい遅かったんです。体が前にいき過ぎたらどうしようかと考えてしまい、重心を後ろに下げ過ぎていました」

 こう話す勢藤は、笠間コーチのアドバイスで昨年の夏から助走姿勢の改良に取り組んだ。徐々に助走の滑りが良くなり、サマージャンプでは安定してひと桁順位に入るまでになり、12月のW杯開幕戦リレハンメル大会代表にも選ばれて初出場を果たした。

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