総合格闘家・鈴木千裕は絶対王者になって新時代をつくる 防衛戦と師匠・五味隆典に恩返しする一戦への思い

  • 大楽聡詞●文・取材 text by Satoshi Dairaku

「キックとMMAの二刀流を目指す」と宣言、初代KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座と第5代RIZINフェザー級王座のベルトを持つ二冠王者・鈴木千裕。『日本のRIZIN』を『世界のRIZIN』に変えるために絶対王者になると断言した王者は4月29日、東京・有明アリーナ「RIZIN.46」でRIZINフェザー級タイトルマッチの初防衛戦を控える。

前編>>RIZINフェザー級王者・鈴木千裕は「最短」にこだわる「子どもたちが格闘家を目指すキッカケをつくりたい」

金原戦に向けてトレーニングをする鈴木千裕 Photo by Ryosuke Hoshina金原戦に向けてトレーニングをする鈴木千裕 Photo by Ryosuke Hoshinaこの記事に関連する写真を見る

――4.29有明で鈴木選手の持つRIZINフェザー級王座に金原正徳選手が挑戦します。金原選手の印象を教えてください。

鈴木千裕(以下同)「金原選手は自分自身の欠点をわかっていて、そこをキチンと補っている。彼は『俺はもうこれ以上強くなることはない。ただ、弱くなっていくスピードを遅くすることはできる』と言いました。学びきったうえでの発言だと思います。自分自身を理解しているからこそ、『スタミナが落ちたから練習しよう、パワー落ちてくるからパワーの練習しよう』と自分の弱点を補うことに卓越している。だから欠点が少ないんです。金原選手は格闘技の頭脳が優れていますね」

――記者会見で金原選手に対して「引退させないといけない」と発言。この発言について教えてください。

「これは金原選手自身も言っていますが、お互い使命があるんです。後輩の使命は『先輩を引退させること』。先輩の使命は引退させられないように『後輩たちの高い壁であり続けること』です。
 
 ジムでもベテランの先輩がいて、勝ったり負けたりを繰り返しながら、引退したいけど、まだできそう、まだやりたいと思っている人たちがいる。でも格闘家を長期間続けているとパンチドランカーになる危険もあります。格闘家として過ごす時間より、引退した後の人生の方が長い。ですから先輩に引退のきっかけを作り、『俺、もう戦えないんだな。じゃあ次の世界に行こう』という後押しなんですよ。

 今は勝ち続けたレジェンドたちが残っているんです。所英男さん、秋山成勲さん、青木真也さんや金原さんも、共通して全員勝ち続けています。だから、引退させるキッカケを作らなきゃいけないと僕は思っています」

――それはすごく大切な役目でもありますね。

「格闘技の中では、『師を超える』ことはリスペクトであり、恩返しでもあります。自分の先輩やレジェンドを実力で超えることは恩返しなんです」

――記者会見で、金原選手に勝つ3つのポイントは「圧倒的パワー、スタミナ、根性」だとコメントされていました。

「今、僕は年齢的にスタミナが彼よりもあるし、パワーも上です。もちろん他の人よりはテクニックもあります。ただ、僕はまだ若いし経験値が彼に比べて浅いので、テクニックでは分が悪い。それをスタミナとパワーで補うんです」

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る