伊藤みどりがフィギュアスケートの現状に「寂しく感じる」理由とは? 女子世界初のトリプルアクセルジャンパーが語るスケーター人生 (2ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 矢口 亨●撮影 photo by Yaguchi Toru

●伝説のトリプルアクセルの裏側

 女子選手でトリプルアクセルを跳ぶ選手は出てきたが、いまだ演技後半に組み込む選手はいない。それほどとんでもない決断を、アルベールビル五輪ではどの段階で決めたのかずっと気になっていた。

「(跳ぶ)直前ですね。練習の時からミスした時のリカバリーをどうするか考えていましたし、それは今の選手もしていることだと思います。

 ただ、あの時はふたつミスをしていたので、どっちをリカバリーしてもよかったんですよ。(ミスをしたトリプル)アクセルでもいいし、(3回転)ルッツでもよかった。でも、アクセルを選択して成功させたことはすごく......よかったなぁー!と思いました。

 成功したから言えるんですけど、やってみないとわからないじゃないですか。ああいうところで負けず嫌いの性格とか、自分が見せたいもの、やりたいものは何かがとっさに出てくるんだろうな、と。今は本当に、成功してよかったとしか言えないですけど(笑)」

この記事に関連する写真を見る 練習ではいろんなパターンで練習していたため、「(山田)満知子先生も跳ぶ直前の軌道に入るまで、どれをリカバリーしてくるのか予測できていなかったんじゃないかな」と伊藤さんは笑う。

「アクセルの軌道に入った時、先生も『そっち行くの?!』と思っていたと思います。それは無理だろうって。

 世界中も驚いたと思いますけど、成功させて一番驚いたのは私(笑)。同じ試合に出ていたスケーターたちもびっくりして『すごい!』と言ってくれました」

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