本田真凜「昔の自分で、今の自分にプレッシャーをかけないように」。8度目の全日本で初のSP落ちに明かした心中

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

12月22日、全日本選手権SPの本田真凜12月22日、全日本選手権SPの本田真凜この記事に関連する写真を見る

【8年連続出場も初の「足切り」】

 12月21日、大阪。全日本選手権の公式練習、本田真凜の表情はどうも晴れなかった。

 曲かけ練習。途中でリンクサイドのコーチのもとに駆け寄るほど、フリップがうまくいかない。その後も感覚がつかめず、跳ぶたびにコーチにアドバイスを求めた。

「こっち(大阪)に入ってから、なかなか思うようにジャンプができなくて。もともとはループだったんですが、自信を持って跳べる状態ではなかったので。自信を失ったわけではないですが、不安でした」

 本田は丁寧に状況を説明している。現役選手のなかでもトップランクの8年連続全日本出場という経験者だけに、厳しい大会になることは覚悟していただろう。

 案の定、ショートプログラム(SP)は26位に低迷している。肩甲骨の柔らかさや指先まで音をとらえるセンスは際立っていたし、いつものように華やかだった。

 しかし懸案の3回転フリップは転倒し、そのミスが大きく響いた。24位までがフリースケーティングに進むため、初めての"足切り"に遭った。わずか0.64点差とは言え、彼女の全日本は呆気なく幕を閉じた。

「スケートをやっていてよかった、という演技がしたくて。それが今の一番の目標です」

 SP後、本田が口にした言葉に彼女のスケート人生が投影されていた。

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