井上尚弥がフルトン戦の直前に「スパーやってくれない?」いとこ・浩樹が感じた恐怖 (3ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【「尚弥を怒らせちゃダメ」】

――試合後、尚弥選手とお祝いなどはしたのでしょうか?

「今回は特にそういうことはありませんでした。以前は一緒にカップラーメンを食べることが恒例だったんですけどね(笑)。尚弥がラスベガスで試合をした時も、みんなでカップラーメンを食べましたし」

――そもそも、どうしてカップラーメンなんですか?

「試合に向けて食生活がストイックになりますから、『久々にジャンクなもの食べようぜ』って感じですかね。ただ今年1年は、僕がカップラーメン食べないと決めたので、今回はナシでした」

――尚弥選手は、試合後にどのくらいで練習を再開するんですか?

「いつもであれば、試合後1、2週間くらい経った頃に『走ろう』と連絡がきますね。僕らからすると、『もう走るの?』という感じです」(※)取材後の、試合から8日後の8月2日、尚弥選手は自身のSNSで「今日からロードワークを開始します!」と練習再開を報告した。

――尚弥選手は試合後、SNSで「全身筋肉痛で起き上がれない、、、、、、」と投稿していましたね。

「それほど、今回の試合は負荷が大きかったんじゃないですかね。最後にフルトンをコーナーに追い詰めて左右の連打を叩き込んだシーンも、パワーというかバネというか、持っている力を超えたものを出していたように感じました」

――確かに今回の試合では、尚弥選手から「絶対にKOする」といった気迫を感じました。

「そう思います。僕は以前から、『尚弥を怒らせちゃダメ』と言っているんです。計量の時や試合前などに尚弥が怒っていると、試合で相手がボコボコにされますから」

――2019年には、相手のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)の公開練習を偵察に行った父親でトレーナーの真吾さんが、相手陣営に静止されて突き飛ばされる騒動がありましたね。その試合は、2ラウンド1分19秒でTKO勝利。ダウンしたロドリゲスがセコンドに首を振るシーンも印象的でした。

「その試合もそうですし、2018年5月にバンタム級で最初に戦った(ジェイミー・)マクドネル戦もそう。マクドネルが計量に1時間も遅れ、尚弥はかなり怒っていた。すると試合は、1ラウンド1分52秒であっという間のTKO勝利。尚弥には、怒りを力に変える力があるんですよ」

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る