羽生結弦、また異次元へ。ファイナルSPの世界最高得点演技を分析 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●写真 photo by Noto Sunao

 これで気持ちが乗ったのか、羽生の演技は力強さと迫力に満ちあふれたものになっていった。スピードに乗って回転したスピンはすべて最高レベルの4。後半に入ってすぐのトリプルアクセルも難なく決めると、「レベル3だったのでそこが反省点です」と羽生自身は言っていたが、ステップも力強く踏み続けた。

 その演技は、2014年ソチ五輪SPの『パリの散歩道』で感じたような、自信に満ちあふれた雰囲気があり、羽生自身、演技終了直後の表情でうっすらと満足の笑みを浮かべるほどだった。

 演技を評価する演技構成点は、最低がトランジション(要素のつなぎ)で9・61点。動作や身のこなしのパフォーマンスは9名中8名のジャッジが10点をつけて満点の10点を獲得し、振り付けと曲の解釈では9点台後半の得点だったが、ジャッジ9名中6名が満点の10点をつけていた。

「この『バラード』は昨シーズンから使っている曲で、1年間しっかり練習をしてきましたし、NHK杯でノーミスをしてやっと自信もついたところです。やっぱり曲を聞き込んできているというのはすごく大事ですし、これまで積み上げてきたものは絶対に無駄ではなかったと思う。それに加えて、ジャンプも不安がないとは言わないですけど、ひとつひとつがしっかり決まっていたから、より自分がピアノの曲に乗っていけたと思います。ジャンプはもちろんですけど、スピンやステップも曲の一部として決まっているからこそ、評価をもらえているのではないかと思います」

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