【フィギュア】全日本まで45日。安藤美姫は本来の力を取り戻せるか?

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 5位以内に入れば12月21日からの全日本選手権の出場権を手にすることができる東日本フィギュアスケート選手権。この大会で、安藤美姫は「これが日本で最後の競技会になるかもしれない」という気持ちで女子フリーに臨んだ。

東日本選手権で2位になり、全日本選手権への出場権を獲得した安藤美姫東日本選手権で2位になり、全日本選手権への出場権を獲得した安藤美姫  来年2月のソチ五輪出場への夢をつなぐこの試合、前日のショートプログラムで、安藤は大きく出遅れていた。冒頭のコンビネーションジャンプは最初の3回転ルッツが回転不足となり大きくバランスを崩し、その後に2回転トーループこそつけたが基礎点とGOE(出来ばえ)で大きく減点された。

 さらに続く3回転ループは安藤自身、「これまで経験がない」と言うほどのミスを犯し、1回転もカウントされなかった。また、スピンもステップもスピードを欠いた演技で41・97点しか獲得できず、13位発進になってしまった。

「やっちゃったな、という感じで......。自分では、(全日本は)『もう無理かな』というのもあったんです。4月に復帰を発表してから日がたつにつれて『無理な決断をしたんだろうな』という実感が湧いてきていたけど、たくさんの人が応援してくれていることもわかった。だから、これが日本での最後の試合になるのなら、悔いが残らないように逃げないで挑戦して、今の自分ができる限りのことをやりたいと思ったんです」

 3週間前の関東選手権後の練習では、3回転ルッツは「10回やって1回降りられる(成功する)程度」と不安定だった。そのため、次につなげるためにルッツを回避し、失敗する確率が低いサルコウやトーループでまとめるという考え方もあった。だが安藤は、「逃げないで挑戦しよう」と自らを励ましながらフリーに臨んだ。

「もともと簡単な道を選んだわけではないし、自分が決めたことに対して、きちんと向き合う姿勢を持っていたかった。弱気になって逃げたくなかったんです」

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