【スキージャンプ】W杯連勝。日本のエース・伊東大貴、成長の要因

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●撮影 photo by Nakamura Hiroyuki

札幌の大倉山で開催されたW杯で、伊東大貴が2日連続で優勝札幌の大倉山で開催されたW杯で、伊東大貴が2日連続で優勝
 今シーズンのW杯総合トップ10のうち9人が出場したW杯札幌大会、26歳の伊東大貴は28日に初勝利をあげ「人生で一番嬉しい」と胸を張った。

 伊東は29日も逆転で勝利して1999年の葛西紀明以来となるW杯連勝を果たし、「この2勝は自分のジャンプ人生で大きい。(日本の)黄金時代を築ければいい」とさらなる意欲を見せた。

 第1戦の勝利は、運に恵まれた面もあった。大倉山特有の目まぐるしく変わる風。W杯総合10位で42番スタートだった伊東は、1本目、1・41mの向かい風で、134mまで飛距離を伸ばしてトップ。それに対してW杯総合1位のアンドレアス・コフラー(オーストリア)が117・5mにとどまるなど、ランキング上位選手は飛距離を伸ばせなかった。

 風速の差がなかった2本目は、トーマス・モルゲンシュテルン(オーストリア)が132・5m、コフラーは129・5mを飛んできたが、伊東は130mを飛び、135mを飛んだアンダース・バーダル(ノルウェー)を0・1点抑えて僅差で優勝したのだ。

 翌29日は風の条件もほぼ同等になった試合。伊東は1本目に127・5mで3位につけると、2本目は「練習でもできなかった一番のジャンプ」という137mの最長不倒距離を記録。カミル・ストッホ(ポーランド)やコフラーを抑えて優勝を決め、「これまで積み重ねてきた、自分の目指しているジャンプが試合でもできるようになった」と、今回の連勝で本物の自信を得た。

 伊東は中学・高校時代から注目される存在だった。2005年1月には19歳でジャンプ週間第4戦のビショフスホーフェン大会(オーストリア)に出場すると、143mのバッケンレコードを飛んで3位になりW杯初表彰台を獲得。その後も実績を残してきたが、夏は2010年のサマーGPで総合1位になるなど勝利できるものの、冬になると思ったようなジャンプができずに苦しんでいた。

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