富永啓生はNBA選手になれるか?「ディフェンス面で改善の余地がある」NCAAを知る「先駆者」松井啓十郎が魅力と課題を語る (5ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

---- NBAドラフトは世界で60名ほどしか指名されない、厳しい世界です。

「そうとう厳しいですよ。今の富永選手では、フィジカルやスピード、あとはディフェンス面で改善の余地がある。カリーくらいの突出したシュート力があれば別ですけど、今はどのポジションでもディフェンス力を求められる」

---- 大学に残れば来年、富永選手は23歳。それでも大学で成長したほうがいいと。

「たしかに、若ければ若いほどいい、という風潮はあります。でも、今年は13得点くらいだった平均得点を18得点、20得点に上げられれば、来年2巡目で指名される可能性も出てきます。

 ビッグテンは悪いカンファレンスじゃないです。富永選手は最終学年なので、彼をメインとして生かしてくれるオフェンスを作ってくれるでしょうから、そこで『1年でこれだけ成長したな』というところを見せられれば、ドラフトでどこかのチームが取る可能性も高くなります」

---- サマーリーグやトレーニングキャンプから這い上がってNBAに行くという手段も?

「それもアリだと思います。八村塁や渡邊雄太の活躍により、主要都市のチームがマーケットを広げるビジネス要素も考慮して取ってくれる可能性はあります。もちろん、サマーリーグで結果を出さないといけないのは大前提ですけど」

---- 8月25日開幕のFIBAワールドカップも楽しみです。日本代表のトム・ホーバスHCは3Pを重視するスタイルを標榜しているので、富永選手にかかる期待も大きいですね。

「そこも注目ポイントですよね。ドイツのデニス・シュルーダー(PG/ロサンゼルス・レイカーズ)など世界の超トップとやれるチャンスです。ここで結果を出せば富永選手への見方も変わるので、ここからNBAへの道が拓ける可能性もなくはないですね」

 日本からNCAAに行く選手は、今後さらに出てくることが予想される。アメリカの厳しい競争のなかで生き残っていくために、松井はどういった助言を与えるだろうか。

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