富永啓生はNBA選手になれるか?「ディフェンス面で改善の余地がある」NCAAを知る「先駆者」松井啓十郎が魅力と課題を語る (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 あと、シュートフェイクを入れて打つのが重要になってくると思っていました。いいシューターになればなるほど(相手が)フェイクにひっかかりやすくなるので、フェイクのタイミングや方法はいろいろ勉強しましたね」

 松井が進学したコロンビア大は、ハーバード大やイェール大といった学業で有名な大学が集まる「アイビーリーグ」に所属している。一方、富永のネブラスカ大が所属する「ビッグテン」はバスケ強豪校が揃う5大リーグ「パワー5カンファレンス」のひとつだ。

---- 日本人選手がビッグテンでプレーするのは、過去にも前例がありません。

「僕は(ノースカロライナ大やデューク大の所属する)ACCカンファレンスが1番だと思っていますけど、ビッグテンにも名門ミシガン州立大、ウィスコンシン大、ミシガン大といった強いチームがいます。レベルはアイビーリーグよりずっと上なので、そこで彼がやっているのはすごいことだと思います」

---- 松井選手にもノースカロライナ大やミシガン大、デイビッドソン大に進学していた可能性もあったそうですね。

「そうですね。ノースカロライナ大からは『ウォークオン(奨学金なしの扱い)』で、ミシガン大からは『1年目はレッドシャツ(練習には参加できるが試合には出場できない)、2年目からはスカラーシップ(奨学金)がある』という話をもらいました」

---- ミシガン大に行っていれば、パワー5カンファレンスでプレーする初の日本人男子選手になっていたわけですね。

「高校のヘッドコーチに相談したんですけど、『奨学金を保証すると言っても、そんなのはわからない。口約束は危険だよ』と言われました。デイビッドソン大へ行っていたら、カリーが僕の後輩になっていましたね(笑)」

 富永はNBAドラフトのアーリーエントリーを取り下げ、大学でプレーすることを選択した。このインタビューはエントリーを下げる直前に行なわれたが、松井は「大学に残って成績を上げることで、よりNBAへのチャンスが増すのではないか」という意見だ。

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