富永啓生はNBA選手になれるか?「ディフェンス面で改善の余地がある」NCAAを知る「先駆者」松井啓十郎が魅力と課題を語る (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

---- 3Pだけだと、そこを対策されて封じられてしまいます。

「そのために、オフェンスシステムもインサイドのペイント内を開けて、富永選手のためにクリエイトしているんだと思います。それがうまくフィットしている」

---- 3P以外で成長を感じられる部分は?

「英語で『Swag guy』というスラングがあって『自信にあふれている』みたいな意味でよく使われますが、富永選手のプレーを見ていると『自信があるんだろうな』というのを感じます」

 松井は2005-06シーズンからコロンビア大に進学し、NCAAディビジョン1でプレーする初めての日本人男子選手となった。14歳で渡米後、モントローズ・クリスチャン高校を経て同大に進んだため、語学も含めてアメリカの環境には慣れていたものの、それでもNCAAでは様々な壁にぶつかった。それだけに富永の苦労も理解ができる。

---- NCAAのバスケットボールは前後半制(NBAはクォーター制)だったり、30秒クロック(NBAやFIBAルールは24秒)が採用されるなど、規則がかなり違います。順応するのは大変ではなかったですか?

「フィジカル面で苦労したのは覚えています。高卒の18歳や19歳が22歳の相手とやるのはもう全然......筋肉の大きさや体の当て方などのレベルが違いました。僕のいたモントローズ・クリスチャンは高校バスケットボールではレベルの高いところにいたとはいえ、それでもNCAAのディビジョン1はさらに上。僕も1年生の時はすごく苦労しましたね。

 だから、富永選手もネブラスカ大へ行く前に2年間、短大(レンジャー・カレッジ)でやっていたことが下地になったのかなと思います。いきなり高校からネブラスカ大に入っていたら、フィジカル面やスピードで差がありすぎて、ケガをしたりパフォーマンスを出せなかったかもしれない」

---- NCAAの環境に慣れるまでには時間がかかりましたか?

「NCAAでは『1日3時間しか練習できない』という決まりがあり、もちろん練習の前後には授業もあります。僕の場合は朝9時から授業があって、13時から16時に練習し、そしてその後また20時まで授業を受けるスケジュールでした。

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