F1フォトグラファーが明かすフェルスタッペン、アロンソらの素顔「撮影できて幸せ」 (4ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【あのマシンで活躍するのはすごい】

ーーレッドブルのフェルスタッペンとアストンマーティンのアロンソ以外に印象に残ったチームやドライバーはいますか?

桜井 ウイリアムズの(アレクサンダー・)アルボンはすごいですよね。マシンは近くで見ると、他のチームのマシンのように細かい空力パーツがいろいろついているわけではないしシンプルなのですが、正直言ってF1マシンっぽくない。見た目だけで言えば、展示用のマシンみたいです(笑)。

 あのマシンであそこまで活躍(入賞3回/ドライバーズランキング13位)するのを見ると、頑張っているなと思います。しかもアルボンのチームメイトが新人のローガン・サージェントということもあり、毎戦苦しんでいるので、余計にアルボンのよさが際立ちます。

熱田 アルボンは確かにすごいよね。ウイリアムズのコース特性にあったサーキットでは時折、驚くほどの速さを披露します。人柄もよさそうですし、撮影しやすいドライバーです。

 ちょっと残念だったのはメルセデスのジョージ・ラッセル。もう少しやるドライバーだと思っていたんですけど(獲得ポイント99/ドライバーズランキング6位)、ハミルトン(獲得ポイント148点/ドライバーズランキング4位)に比べると、少し期待外れですね。

恒例となったF1カメラマン対談 撮影/五十嵐和博恒例となったF1カメラマン対談 撮影/五十嵐和博この記事に関連する写真を見る桜井 ハミルトンの相棒だと、どうしても影がうすい存在になってしまいますよ。ハミルトンはメルセデスのチームのなかだけでなく、F1全体で中心的な存在ですから。そういう意味ではラッセルは少しかわいそうです。

 でもこのままの成績だと、かつてハミルトンとメルセデスで組んでいたバルテリ・ボッタス(現・アルファロメオ)のような、ナンバー2の存在になってしまうよね。(つづく)

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【プロフィール】
熱田 護 あつた・まもる 
1963年、三重県鈴鹿市生まれ。2輪の世界GPを転戦したのち、1991年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始。F1取材は約570戦、日本を代表するF1カメラマン。2019年にF1写真集『500GP』、2022年にホンダF1のタイトル獲得を記録した写真集『Champion』(ともにインプレス刊)を刊行。


桜井淳雄 さくらい・あつお 
1968年、三重県津市生まれ。1991年の日本GPよりF1の撮影を開始。これまでに400戦以上を取材し、F1やフェラーリの公式フォトグラファーも務める。YouTubeでは『ヒゲおじ』としてチャンネルを開設し、GPウィークは『ヒゲおじ F1日記』を配信中。鈴鹿サーキット公式HP内の特設ページ『写真で振り返る2023年シーズン』で作品を掲載。

プロフィール

  • 川原田 剛

    川原田 剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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