スーパーGTはトヨタvs日産vsホンダだけじゃない! ヨコハマタイヤの急成長で「ブリヂストン8連覇」を止める可能性も? (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

【タイヤ戦争がヒートアップ】

 結果的には、なんとも後味の悪い1戦となってしまった。ただ、レースの内容に絞って見てみると、後半戦に向けて面白くなりそうな要素も見つかった。

 それは、タイヤメーカー同士の争いだ。

 現在のGT500クラスは、ブリヂストン、ミシュラン、ヨコハマ、ダンロップの4社が参入。常に激しい開発競争が繰り広げられている。

 スーパーGTでは、1大会に使用できるタイヤの本数は決まっている。だが、シーズン中もタイヤ自体の改良は認められているため、その日の気温や路面温度にピンポイントで対応したタイヤを作り、大会ごとに新しいアイデアを投入してライバルを上回ろうとしている。

 スーパーGTで長年にわたり、勢力を誇っているのはブリヂストンだ。GT500クラスでは7年連続でチャンピオンを獲得している。それに対し、日産勢の2台に供給するミシュランが競り合うという展開が続いている。

 しかし今年に入ってから、その勢力図に変化が見られるようになった。着々とヨコハマが実力を伸ばしつつあり、今回の第3戦・鈴鹿でもライバルを脅かす存在となっている。

 現在、ヨコハマは19号車と24号車の2台にタイヤを供給。ここ数年、ヨコハマは予選での速さが際立ち、2021年には2回、2022年には5回もポールポジションを奪う活躍を見せている。

 ただし、決勝でのロングランになると、ライバルメーカーに屈することが多かった。特にスタート時やピットアウト直後のタイヤが温まっていない時の性能と、長持ちするタイヤ作りを課題にさまざまなトライ&エラーを繰り返した。

 そんななか、今年の第2戦・富士で転機が生まれる。予選ではライバルよりも少ないウォーミングアップでタイヤを温め、彼らと遜色ないタイムを叩き出したのだ。これについて、GT500で2度のチャンピオン経験がある24号車の平手晃平も、今までにない手応えを感じていた。

「朝の練習走行でロングランのテストをした時、性能的によさそうなタイヤが見つかりました。アベレージラップも速いです。低温度の時に使うタイヤとして想定していましたけど、高温になっても耐えてくれています。温度に変化があっても使えるタイヤという発見がありました」

 24号車は予選だけでなく、決勝レースでも力強い走りを披露。2番手争いを演じた。ただ、残り5周で不運なアクシデントに見舞われ、レースから脱落することになってしまった。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る