スーパーGTはトヨタvs日産vsホンダだけじゃない! ヨコハマタイヤの急成長で「ブリヂストン8連覇」を止める可能性も? (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

【ミシュランは有終の美を狙う】

 それでも、ヨコハマが最後まで攻めの姿勢を貫ける力強いタイヤに進化したことは、レース関係者の誰もが認めることになった。24号車のKONDO RACINGを率いる近藤真彦監督は語る。

「正直、2回目のピットストップでタイヤ無交換も考えるくらい、長持ちするタイヤでした。昔は『早くタイヤを換えたい!』とドライバーから無線で言われていましたが、今回は余裕でした。グリップして長持ちする......すごく頼もしいタイヤが出てきました」

 ヨコハマへの期待が日に日に膨らむなか、迎えた今回の第3戦・鈴鹿。

 前回の富士スピードウェイとはコース特性やタイヤへの負荷もまったく異なる鈴鹿サーキットにおいて、24号車が予選トップタイムを叩き出し、19号車も3番手につけた。24号車が再車検不合格により最後尾となったが、決勝では19号車が最後まで力強い走りを披露した。

 特筆すべきは、課題となっていたピットアウト直後のシーンだろう。タイヤ交換直後は性能を100%引き出せずに順位を落としてしまうヨコハマが、今回はライバルよりも速いペースで周回したのだ。

「昨年は(ピット作業直後の)アウトラップが課題でしたが、今回はピットのタイミングとアウトラップでライバルを上回ることができた。課題を克服できたのは、横浜ゴムの設計と進化があったからだと思います」(19号車・坂東正敬監督)

 タイヤ競争に関しては、寂しいニュースも入ってきている。ミシュランが今季いっぱいでGT500クラスへのタイヤ供給を休止することを先日発表した。プレスリリースでも『チームのシリーズチャンピオンに向け最終戦、最終ラップまで邁進します』と力強いコメントを発表しており、有終の美を飾るべく、より一層、力を入れてくることは間違いないだろう。

 これに対し、7連覇中のブリヂストンも危機感を感じている模様だ。世界中のモータースポーツの中で、このスーパーGTが唯一と言っていいほど複数のタイヤメーカーが参戦している。トヨタ、日産、ホンダの自動車メーカーの"三つ巴"だけでなく、タイヤメーカーの熾烈な争いもスーパーGTの醍醐味のひとつだ。

プロフィール

  • 吉田知弘

    吉田知弘 (よした・ともひろ)

    モータースポーツジャーナリスト。1984年12月19日生まれ、石川県出身。2011年よりスーパーGT、スーパーフォーミュラなど国内4輪レースを中心に取材。専門誌やweb媒体などで執筆中。日本モータースポーツ記者会所属。

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