「9番手・10番手のチーム」とわかっていても...角田裕毅はマシンの100%を引き出して「0.1秒」を削っていく (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY, ©AlphaTauri

【AT04は最高速が伸びない】

 オーストラリアGPの舞台アルバートパーク・サーキットは、公園の周遊路を利用した半公道サーキット。もともとは直線を低速コーナーでつないだストップ&ゴー的な性格のレイアウトだったが、昨年の改修でコーナーが緩やかな形状に改められ、中速コーナーが多くなった。

 今のアルファタウリにとっては、厳しいコース特性だと言える。

「マシンバランス自体はそれほど悪くないんですけど、ただグリップが足りないんです。グリップが高くなればそのぶんセットアップの幅も広がりますし、コーナーごとのスライド量が減ればレースでのタイヤ消耗も抑えられます。クルマ全体のダウンフォース量を増やすことがまずは最優先です」

今年の角田裕毅は100%の走りを見せてくれる今年の角田裕毅は100%の走りを見せてくれるこの記事に関連する写真を見る AT04は最高速が伸びない。マシンそのものが持つダウンフォース量が少ないから、ウイングを寝かせて走ろうとするとマシンが大きくスライドしてしまうため、ウイングを立ててダウンフォースを稼ぐしかない。そうすると空気抵抗が大きくなり、最高速は伸びなくなる。

 マシンが持つダウンフォース量が多ければ、ウイングを寝かせてストレート重視のセットアップもできるが、今のアルファタウリにはそれはできないというわけだ。

「できるだけウイングではなくフロアでダウンフォースを稼ぐことによって、ドラッグ(空気抵抗)を増やすことなくダウンフォースを上げられるので、フロアの開発が一番重要かなと思っています。同じパワーユニットを使っているレッドブルと比べてもストレートスピードが10km/hくらい違うので、ウチのドラッグが大きいのは明白。そこを下げていくことも重要です」

 今週末のオーストラリアGPには、待望のアップグレードが入る。

 まだマシンを根本的に変えられるようなものではない。だが、大きなアップグレードを確実に入れていこうとした結果、ライバルたちに大きく後れを取ってしまった昨年とは違い、小さなものでも次々と投入していくというアルファタウリの積極的な開発方針を反映したものとなっている。

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