「ルクレールには負荷がかかりすぎている」。現役ドライバーだからこそ理解できる、フェラーリドライバーのストレス (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【フェルスタッペンは王様】

 2022シーズン終盤に起きた、レッドブル内のチームオーダー騒動。それについて、チームからの指示を拒絶したフェルスタッペンの感情はわからないとしながらも、前述のようなチームとの関係性を考えれば理解できる行動だとも言う。

「僕はそういう立場になったことがないし、正直わかりません。ただ、あれを見た時に思ったのは、マックスは『王様なんだろうな』ということですね。自分では意識していないかもしれないけど、『(レッドブルは)俺のチームだ』っていう意識が心のどこかにあるんだと思います。

 レーシングドライバーはその(勝利の)ためにレースをしているわけだから、カッコいいなと思いました。そう思えるのもすごいし、チームにもそう思わせているんだからすごい。チェコ(セルジオ・ペレス)の立場だったら『ふざけんなよ、クソ野郎!』って思うでしょうけどね(笑)。

 だから、あのマックスの行動はちょっと意外でした。ハミルトンだったら『ありがとう』ってオーダーに従ったと思うんですけどね」

 一方、開幕当初は最速のマシンを手にしていながら、レッドブルとの争いに持ち込むことすらできなかったフェラーリについて。その最大の要因は、チーム代表をすげ替えてどうにかなるものではなく、チーム組織を構成する一人ひとりがうまく噛み合っていないことに原因があるのではないかと松下は推測する。

「フェラーリのドタバタは今に始まったことではないと思うし、シーズン中のアップダウンはチームとしての統率が取れていないことやいろんな理由があるでしょう。だけど、レースって全員が歯車ですから、それが目まぐるしく回っていくなかで、ひとつでも欠けていたらうまく回らなくなる。チームとして歯車がうまく噛み合っていないなという印象を受けました。

 だから、チーム代表が替わったからといっても絶対によくはならないだろうし、大変でしょうね。レッドブルは一度も代表が替わっていないのに、フェラーリはその間に何人替わったんだ、その間に何回チャンピオンになれたんだっていう話ですから」

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