【F1】3度目の戴冠。ルイス・ハミルトンが感涙した「胸のうち」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「ルイス、3度目のタイトル獲得おめでとう!」

 アメリカGPのチェッカードフラッグを受け、メルセデスAMGのチームスタッフたちから代わるがわる、無線で祝福の言葉を贈られたルイス・ハミルトンは、涙でしばらく応答ができなかった。

2年連続3度目のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトン2年連続3度目のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトン 幼少期からの憧れだった英雄アイルトン・セナに並ぶ、3度目の王座――。それは、ずっと雲の上のように思っていた場所に自分が辿り着き、自分もセナと同じように、世の中の人々に憧れられる存在になったということだ。

「今は胸がいっぱいだ。この瞬間がどれだけ素晴らしい気分か、伝える言葉が思い浮かばないよ。特にアイルトン・セナに並んだということが、僕にとってはとても大きなことだ。今日は本当に、自分が祝福されていると感じるよ」

 今年のアメリカGPは、荒れに荒れた。

 観測史上最強というハリケーン『パトリシア』がメキシコに上陸し、国境に面したテキサス州もその影響を受け、各地で暴風雨や洪水の被害が出ていた。オースティンにある「サーキット・オブ・ジ・アメリカズ」も例外ではなく、土曜日の予選は豪雨のために順延され、日曜午前に行なわれる慌ただしい週末となってしまった。

 決勝の1時間前に雨は上がったものの、濡れた路面が徐々に乾いていく難しいコンディションでのレースとなり、メルセデスAMGとて、いつも通りの速さを発揮できたわけではなかった。

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