【Jリーグ】西野監督は、神戸をどう変えていくのか? (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nikkan sports

 そして、チーム強化の最重要ポイントとなる、ストライカー探しにも着手すると思われる。

「ストライカーはGKと同様、スペシャルなポジション。器用じゃなく、点を取ることに特化しているストライカーを求めている」という西野監督。神戸では「大久保(嘉人)は点を取ることに専念してほしい」と、大久保をその担い手として指名したが、ガンバではアラウージョ、マグノ・アウベス、イ・グノら優秀な外国人選手をFWに起用してきた。移籍市場がオープンになれば、大久保のパートナーとして、国内でプレイする優秀な外国人FW獲得に動き出すのではないだろうか。

 同時に、補強リストも作成されていくだろう。ガンバ時代も、自分の目指すチーム作りに必要な選手を次々に獲得してきた。明神智和や加地亮ら現在の主力を担う選手が、そのいい例だ。

 こうした作業が順調に進行していけば、新しい“神戸スタイル”は思った以上に早く完成するかもしれない。

 ただ一方で、不安もある。補強のために潤沢な資金をつぎ込めるとは言い難い神戸が、西野監督の要求にどう応えていくのか。また、オーナーの“鶴のひと声”ですべてが決定する感のあるクラブゆえ、結果が出ないときに、どれだけ西野監督を信じて、サポートすることができるのか。

 チームの体質を変え、選手の意識を変え、スタイルを確立し、クラブを本当の意味でプロ化し、さらに結果をも出すのは、決して容易ではない。ガンバ時代もリーグ優勝するのに4年、ACL制覇に7年かかっている。

 西野監督は言う。
「監督がコロコロ変わる今の時代の中で、自分ひとりぐらいは、長く続けていってもいい。そうして継続する重要性を、自分が長く監督をすることで認識してもらえるようにしたい」

 指揮官の強い指導力のもと、これから神戸は独自のスタイルを持ったチームとして生まれ変わっていくだろう。2年半の契約期間は、その序章でしかない。

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