【Jリーグ】ペトロビッチ時代からの変化は?広島・森保新体制の継承と積み上げ (2ページ目)

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ボールを保持して攻撃するときは、前線に5人が並ぶボールを保持して攻撃するときは、前線に5人が並ぶ
 そして、前線が動き出して中央で受けることになるが、このとき、前線⑤⑧⑨⑩⑪は5トップに近い形になっており、ほぼフラットになったところから動き出す。誰かが引いてボールを受けたときは、それ以外の選手はラインの裏、あるいはサイドでパスを受ける準備をする。その連動の繰り返しで相手の守備ブロックにギャップをつくりだしていく。

 前線の5人は常にポジションの段差をつくって「深さをつくる」ことが特徴で、ボールを回しながら相手のポジションにズレを生じさせ、そのスペースをついてくるため、相手からするとコンパクトな守備陣形を保ちづらい。

 もちろん、そうしたボール回しをするために、DFは正確なフィードができなくてはいけない。両サイドが開いてピッチ幅68mをいっぱいに使いながら相手をサイドに引っ張っていくので、中央にスペースが空いてきたときには縦パスを入れる。あるいは自らがドリブルで持ち上がって、相手を中央に集結させたときはサイドに展開する的確な判断力も必要となる。

 こうした攻撃の狙いについては昨シーズンと同じでブレはない。また、サイド攻撃についても昨年同様、右のミキッチの1対1の突破がストロングポイントとなっている。

 たとえば、バルセロナの場合、テージョやペドロがドリブルで突破をしかけることで、DFの意識がサイドにいくので中央が空いてくる。これと同様に、広島でもミキッチの突破からのクロスが攻撃のアクセントになり、ゴールにつながるプレイとなっている。また、逆サイドにいる左の山岸智はサイドからセンターバックの裏に、斜めに入ってくるのがうまい選手で、DFラインを崩す動きを得意としている。

 シュートを決めるFWについては、佐藤寿人が今シーズンも攻撃の中心だ。裏への飛び出し、クロスに対しての反応、ボールから逃げていく動き、ボールに寄っていく動きとタイミングなど、すべてが高いレベルにある。カウンターの起点にもなることもできるし、ゆっくり回して攻めるときには、引いてきて縦パスを受けることもできる。

 また、常に佐藤が受けるだけではなく、ツーシャドーの高萩洋次郎や大崎が引いて受けることもあり、DFからすると誰が引いて受けるのかわからないので判断に迷って混乱するし、引いてパスを受ける選手にくいついていくと、ほかの選手がその空いたスペースに入ってきてパスをもらうこともあり、対応に苦労することになる。

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