稲見萌寧、吉田優利、西郷真央は今季米ツアーで通用するか 3人のプレーの特長や可能性を永久シードプロが分析 (3ページ目)

  • 古屋雅章●取材・構成 text by Furuya Masaaki

photo by Getty Imagesphoto by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る稲見萌寧(いなみ・もね)
1999年7月29日生まれ。東京都出身。2023年ツアー優勝1回。メルセデスランキング16位。獲得賞金8891万3694円(9位)。身長166cm。血液型A。

 海外への意識は「ない」と言っていた稲見萌寧さん。その彼女が米ツアーへのチャレンジを表明したのは、もちろんTOTOジャパンクラシックを勝って得たチャンスを生かしたかったからでしょうが、オリンピックのことも頭にあったのかもしれません。

 というのも、2024年パリ五輪の出場権は前回の東京五輪同様、およそ過去2年間の成績が反映されるオリンピックゴルフランキングによって決定します。それを考えた場合、2023年シーズンで出遅れた稲見さんは、2024年シーズン序盤で巻き返す必要があり、ポイント数の高いアメリカでプレーしたほうがその可能性は増すからです。今回の選択には、そんな意識もあったのではないかな、と思っています。

 いずれにせよ、東京大会でオリンピックの銀メダリストとなった稲見さん。その称号はよくも悪くも、今後の彼女について回ります。そこは自信にして、アメリカでも頑張ってもらいたいです。

 稲見さんのアイアンショットはインパクトでフェースを長く押していく打ち方で、ボールをフェースに乗せる時間が長い分、スピン量や弾道が安定します。この打ち方は、日本の高麗芝や野芝のように葉が太くて硬い芝質では球が浮いた状態で打てるのでいいのですが、海外のバミューダやティフトンなどの洋芝では球が沈んでしまうため、インパクトで芝の影響を受けやすく、ヘッドが持っていかれる心配があります。

 この問題に、稲見さんはどう対応するのか。それも、興味深いところです。

 2023年6月の試合の際、予選落ちが続いている稲見さんに練習場で「少し休むとかは考えないの?」と声をかけました。その時、「考えてみます」といった答えが返ってくるかと思いきや、「でも私、トレーニングが大好きなんですよ」という思いもよらぬ返答が。その言葉にたくましさを感じたので、ハードな米ツアーでも頑張ってくれると信じています。

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