【木村和久連載】なぜ日本のゴルフ中継はつまらなくなったのか (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 ジャンボ尾崎選手全盛の頃は、ちょっと憎たらしいけど(笑)、図らずも応援して見入ってしまいました。そして、青木功選手、中嶋常幸選手など、他にも役者がそろっていました。

 今なら注目すべきは、松山英樹選手ですか。けれど、松山選手は海外を主戦場としているので、日本ではあまり見かけなくなってしまった。それも、日本の試合を見なくなった要因です。

 そんなわけで、松山選手が出場している海外の試合はよく見ます。ついでながら、松山選手が出ていなくても見ることが多いです。

 海外の試合、特にアメリカのPGAツアーは、試合そのものが面白いですね。なんでPGAの試合がエキサイティングなのか、以前深く考えたことがあって、今回、その謎を解き明かしたいと思います。

 アメリカの近代ゴルフコースの設計の源は、ロバート・トレント・ジョーンズ・シニアと言われています。その昔もありますが、過去50年ぐらいの話としてはそうなります。

 何が優れているのかというと、ハザードの難しさを、選手とギャラリー、視聴者が共有できる点です。つまり池越え、クリーク越えのコースがやたら多いのです。池は誰が見てもはっきりとわかるハザードで、テレビの視聴者も「あそこを越えられるのか」とハラハラドキドキして見ます。

 そうした流れを汲(く)んで、ハラハラドキドキ感を生み出すコースの最たる設計家が、ピート・ダイです。彼が設計した周囲340度が池のアイランドグリーンは、非常にサディスティックで、一世を風靡しました。

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