5-0圧勝という結果とは裏腹に、最終予選へ向けて高まる不安 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「数字としてゼロ(無失点)だったのはよかったが、試合後は選手たちの間でも、そこ(シリアにチャンスを作られたこと)に関する議論が多かった」

 長谷部が特に問題点として指摘したのが、「クロスへの対応」だ。簡単にサイドを突破された日本は「フリーでクロスを上げられていたし、中(ゴール前)のマークも相手選手に逃げられ、外されていた」。

 この程度の、と言ってはシリアに失礼だが、2試合やって3-0、5-0で連勝できるような相手に、ここまで完璧に崩されたピンチを、しかもこれだけ多く次々に迎えた試合はあまり記憶がない。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「守備のオーガニゼーション(組織)を簡単に崩し過ぎた」と繰り返し、「ゲームをコントロールすること」と「攻めているときに、いかに守備のブロックをキープするか」を強調した。

 だが、何度もピンチを招いた原因は、本当にそれだけか。人数は足りていても、相手FWに1対1でかわされてしまう場面が何度もあった。それが油断なのか、能力の問題なのかは別にして、原因は組織の崩壊だけではなかったように思う。

 シリア戦後の埼玉スタジアムは、日本代表の勝利に加え、FW岡崎慎司の日本代表通算100試合出場の記念セレモニーが行なわれたこともあり、スタジアムは祝福ムードに包まれた。もちろん、彼の功績には敬意を払うが、それはそれ、これはこれだ。

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