ボランチ最後のひと枠を狙う、広島・青山敏弘の「胸中」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nakanishi Yusuke/AFLO SPORT

「前線の選手の能力がすごく高いので、海外組と一緒にやれば、自分のよさは一層出てくると思います。ニュージーランド戦のときは、慎重にプレイし過ぎたのがいけなかった。(香川)真司のリズムをもっとうまく引き出してあげられればよかったと思っているし、それができていれば、自分の評価も上がっていたと思う。それで、チームもレベルアップできると思うんです。

 海外組とはさらに多くの時間を共有したかったけど、グアテマラ戦以降、自分は欧州遠征などには参加できない状況に置かれていた。それは、自分の実力のなさで言い訳はできないこと。それでも、自分にはまだ伸びしろがあると思うし、今回の3日間の合宿でも伸びてきた部分はあったと思っている」

 青山が海外組を含めた代表チームで過ごした時間は3回しかない。そのうち、試合に出場したのは2回。後半34分から出場したグアテマラ戦と、前半のみプレイしたニュージーランド戦だ。海外組とより多くの時間をともにして、彼らのよさを引き出すことができていれば、もしかしたら主力メンバーとして定着し、今回の国内合宿に青山は招集されていなかったかもしれない。

 ところで、チームの成長については、どう見ているのだろうか。およそ半年間、チームからも離れていたが、離れていたからこそ、見えるものもあるのではないだろうか。

「チームの成長というのは、どうですかねぇ……。この間の試合は、相手(ニュージーランド)のレベルも低かったですし。(8月に対戦した)ウルグアイと同じレベルの国とやっていれば、何か確認できたと思うんですが……。ただ、個人として、ひとりひとり成長はあったと思います。自分も、意識とかはウルグアイ戦のときよりも成長したというか、変化している。より高いレベルでやりたいと思うようになったし、チームの勝敗にかかわる責任も感じるようになった。自分がやらないといけないという意識は、一段と強くなりました」

 ザッケローニ監督の目前での最終アピールは終わった。あとは、ブラジルW杯のメンバー発表(5月12日)を待つしかないが、それまでわずかながら時間はある。その間、青山は自分をどうアピールしていくのか。

「今は、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)とJリーグの過密日程をこなしているけど、それは、欧州の選手たちなら当たり前にやっていること。その中で、結果を出していくしかないと思っています。でも、そうやって意気込むと、よく自分は空回りしてしまうので、落ち着いてやっていけばいいかな、と。もちろんW杯には行きたいですし、メンバーにも選ばれたい。その思いは強くなったし、自分のよさを出せる自信もある。とにかく(メンバー入りを目指して)最後までチャレンジし続けるしかないですね」

 ボランチでは、遠藤保仁と山口蛍のメンバー入りは確実視されている。コンディション次第となるが、リハビリ中の長谷部誠も濃厚だろう。すると、残された枠は、あとひとつ。残り少ない時間の中、自らの成長を証明し、広島が結果を出し続けることができれば、青山が最後の切符を手にしても不思議ではない。

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