【プロ野球】4連続完封負けも、DeNA若手4人衆から目が離せない (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 開幕戦で中畑監督は、キャッチャーに黒羽根利規(24歳)、ショートに梶谷隆幸(23歳)、センターに荒波翔(26歳)と若手中心でセンターラインを固めた。ここにピッチャーの国吉を加えた4人が、新生横浜の象徴といえる選手たちである。

 黒羽根はFAで巨人から鶴岡一成が戻ってきたにも関わらず、オープン戦初戦から起用され、昨年のパ・リーグ盗塁王の本多雄一(ソフトバンク)を2度も刺した強肩捕手。山下和彦バッテリーコーチも、「昨年のシーズン終盤からマスクを被る機会が多くなり、リードもよくなってきました。若い投手が多く、自分が引っ張っていくんだという気持ちが出てきた」と成長を認める。

 梶谷は内野ならどこでも守れる器用さがあり、2010年にはイースタンリーグの盗塁王を獲得した俊足の持ち主。オープン戦でも13盗塁を決め、中畑監督からも「頼もしい1番になってきた」と評価された。梶谷自身も「何かをやってくれるという期待される選手になりたい。盗塁の技術は誰にも負けてないと思うし、負けたくない」と意欲を燃やす。

 荒波は遠投110メートルの強肩と守備範囲の広さが魅力で、一塁到達4秒を切る足と横浜高校育ちの状況判断に優れた走塁も評価されている。

 3人とも昨シーズンまでは一軍と二軍を行き来し、レギュラーに定着したことは一度もない選手たちである。

 昨年まで二軍監督を務め、今シーズンから一軍の内野守備走塁コーチに就任した白井一幸は、選手の変化と中畑野球の真髄を次のように語る。

「中畑監督が就任してからチームのすべての雰囲気が一変しました。課題も問題点もたくさんあるチームだけど、すべてを前向きにとらえようという考え方がチーム全体として固まってきた。ですから選手たちは結果を恐れずにプレイできるようになり、どんな結果であってもそれを受け入れ、次のプレイに全力を尽くすようになった。『せこいぜ野球』なんて言っていますけど、監督は戦術や戦略以上に選手の持っている力を最大限引き出すことに力を注いでいるんです。これからいろんなことが起こるでしょうけど、近い将来、チームは必ず好転し、いい結果につながると確信しています。おそらくチーム全員がそうした手応えを感じながら戦っていると思いますよ」

 開幕カードの阪神戦では、台頭する若手選手たちに刺激を受けたかのように三浦大輔、金城龍彦、中村紀洋、森本稀哲らのベテラン勢が活躍した。中畑監督のもとチーム一丸となった横浜の明るく前向きな野球がいつ花開くのか、楽しみなシーズンだ。

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