大谷翔平の緻密な目標に松井秀喜が驚き ドキュメンタリー映画を撮った時川徹監督が明かす制作秘話 (3ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

――撮影中の不測な事態が、作品の仕上がりに影響を与えている点はありますか?

「映像の撮り方は監督によってさまざまなスタイルがありますが、僕の場合は行き当たりばったりの制作とはいえ、『使うかわからないけど、とりあえずカメラを回しておく』といった方法ではなく、思い描いた映像を完成させることを軸にして撮影に臨みました。もちろん予想外の映像が撮れることもありますが、『このふたつのシーンを繋ぎ合わせたら、よりいいシーンになるかもしれない』と、完成後の映像をイメージしながら制作しています」

――ペドロ・マルティネズさんは、大谷選手のことを「器用さを学んだ選手」と紹介しています。幼少期の大谷選手が、あまり長身でないペドロ・マルティネズさんの細かな工夫に気づき、自身に取り入れようとしていたところにも驚かされました。

「そうですね。大谷選手は野球に対して本当に研究熱心ですし、子供の頃からさまざまなことを実践できていたことも素晴らしいです」

――2009年のワールドシリーズで、当時フィリーズのペドロ・マルティネズさんから本塁打を放ち、世界一とMVPを手にした松井さん(当時ヤンキース)の活躍について、大谷選手は「テレビで見ていた」そうですね。

「大谷選手が生まれ育った岩手県水沢市(現・奥州市)は、どちらかというと地方と言われるようなエリアですが、幼少期からMLBの試合やワールドシリーズを見ることができたのは、インターネットが発達したおかげ。かつては書籍やDVDを購入しないと触れられなかった情報に簡単にアクセスできるようになったことが、大谷選手の野球観に大きな影響を与え、夢を育むきっかけになったんでしょう」

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