大谷翔平のドキュメンタリー映画の監督が感じた、地方から規格外スターが生まれた理由「都心だとスケールダウンにつながるリスクもあった」

  • 白鳥純一●取材・文text by Shiratori Junichi

大谷翔平ドキュメンタリー映画

時川徹監督インタビュー 後編

(前編:大谷翔平の緻密な目標に松井秀喜が驚き 時川徹監督が明かす制作秘話>>)

『ディズニープラス』で配信されている大谷翔平のドキュメンタリー映画『Shohei Ohtani - Beyond the Dream』。大谷本人や関連の深い人たちへのインタビューを通じて、二刀流への挑戦と大成までの経緯に迫っている。

 本作の監督を務めた時川徹氏へのインタビュー後編では、大谷の地元・岩手で感じた規格外のスターが育つ要因、プレー以外で「天才」と感じた部分に関して語った。

映画内では大谷翔平のロングインタビューも © Rivertime Entertainment Inc. ™/© 2023 MLB映画内では大谷翔平のロングインタビューも © Rivertime Entertainment Inc. ™/© 2023 MLBこの記事に関連する写真を見る

【規格外のメジャーリーガーが誕生した理由】

――大谷選手が生まれた岩手県は、菊池雄星投手(ブルージェイズ)、佐々木朗希投手(ロッテ)など、球界を代表する逸材を輩出してきた地域でもあります。時川監督がロケで感じた岩手県の印象や、多くのスター選手が誕生している理由などを聞かせてください。

「作中で大谷選手が『普通の人になりたい』という目標を書いていましたが、地元の方いわく、『とにかく普通でいたい』と思っている人が多いと聞く岩手の県民性も影響しているそうなんです。"普通"でいることが美徳とされる地域で、なぜ規格外のメジャーリーガーが誕生したのか。その理由を僕なりに考えてみた結果、『大谷選手が自由にのびのびと過ごせる環境が整っていたことが大きいのではないか』という結論に至りました。

"地方"だからこそ、やりたいことをやれたのではないかと。長年の伝統や厳しい上下関係が重視されるような都会のマンモス校に通っていたら、大谷選手は二刀流に挑戦できなかったかもしれない。都心部でレールに乗っかったような人生を送らなかったからこそ、スケールの大きな選手になれたんじゃないかと僕は思っています。

 今作に登場するマイク・トラウト選手やペドロ・マルティネズ投手、石川県出身の松井秀喜さんも都会ではないエリアで生まれ育ち、スターへの道を歩んでいます。穏やかで伸び伸び過ごせる"地方"で、自分のやりたいことを突き詰めることによって育まれる才能もあると思いますし、岩手から大谷選手をはじめとするさまざまな有力選手が誕生する一つの理由になっているんじゃないでしょうか」

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